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2024-11-14 現在

Google スプレッドシートの利用

TWELITE ARIA からのデータを Google スプレッドシートへアップロードするサンプルスケッチ spot-google-sheets の解説
    無線 LAN 子機として振る舞い、クラウド上の Google スプレッドシートに TWELITE ARIA から受信したデータをアップロードするサンプルスケッチ spot-google-sheets の解説です。なお、このスケッチでは ESP32 の Arduino 環境から FreeRTOS の機能を利用しています。

    ソースコードの入手

    GitHub (monowireless/spot-google-sheets) から入手できます。

    システムの概要

    TWELITE SPOT は、事前に作成したサービスアカウントを使って自動的にスプレッドシートを作成し、指定したユーザアカウントへ、そのファイルを共有します。

    ユーザアカウントへログインすると、Google ドライブの「共有アイテム」ページから、TWELITE SPOT によって作成されたスプレッドシートを閲覧・編集できます。

    作成されるスプレッドシートのイメージ

    作成されるスプレッドシートのイメージ

    TWELITE SPOT は、作成したスプレッドシートへデータ行を次々と追加していきます。

    開発に必要なもの

    環境整備

    IDE とツールチェインの導入

    Arduino IDE 1.x による開発環境の構築方法 をご覧ください。

    ライブラリの導入

    ESP-Google-Sheet-Client ライブラリ

    ライブラリマネージャを開き、検索ボックスに esp-google-sheet と入力してインストールします。

    なお、GitHub (mobizt/ESP-Google-Sheet-Client) からも入手できます。

    公式 NTP ライブラリ

    ライブラリマネージャを開き、検索ボックスに ntpclient と入力してインストールします。

    TimeLib ライブラリ

    ライブラリマネージャを開き、検索ボックスに timelib と入力してインストールします。

    事前準備:API のセットアップ

    事前に、API を使用できるように準備する必要があります。Google アカウントを使います。

    ここでは、下記の作業を行います。

    • Google Cloud プロジェクトの作成
    • Google Sheets API の有効化
    • Google Drive API の有効化
    • サービスアカウントの作成と設定
    • サービスアカウントの認証情報の取得

    プロジェクトの作成

    API を使用するにあたって、まずは Google Cloud プロジェクトを作成します。

    Google Cloud プロジェクトは、システム全体を束ねるような存在です。構築するシステムの名称をプロジェクト名にするとよいでしょう。ここでは、仮に SPOT-DEV とします。

    下記のリンクにアクセスし、プロジェクトを作成してください。

    https://console.cloud.google.com/projectcreate

    プロジェクト作成画面の例(個人)

    プロジェクト作成画面の例(個人)

    Sheets API の有効化

    TWELITE SPOT からスプレッドシートを操作するために、Sheets API を有効化します。

    下記のリンクにアクセスし、API を有効化してください。

    https://console.cloud.google.com/apis/library/sheets.googleapis.com

    Sheets APIの有効化を行う画面の例

    Sheets APIの有効化を行う画面の例

    Drive API の有効化

    TWELITE SPOT からスプレッドシートを共有するために、Drive API を有効化します。

    下記のリンクにアクセスし、API を有効化してください。

    https://console.cloud.google.com/apis/library/drive.googleapis.com

    Drive APIの有効化を行う画面の例

    Drive APIの有効化を行う画面の例

    サービスアカウントの作成と設定

    TWELITE SPOT からスプレッドシートを作成するために、サービスアカウントを作成します。

    下記のリンクにアクセスし、プロジェクト名(ここでは SPOT-DEV )を選択してサービスアカウント一覧画面を表示したのち、ページ上部のボタンからサービスアカウントの作成を開始します。

    https://console.cloud.google.com/iam-admin/serviceaccounts

    サービスアカウント一覧の表示画面の例

    サービスアカウント一覧の表示画面の例

    「① サービスアカウントの詳細」では、サービスアカウントの名称を入力します。

    下記の例では、spot-dev-sa としています。

    サービスアカウント名の入力画面の例

    サービスアカウント名の入力画面の例

    入力したら、「作成して続行」ボタンを押して次へ進みます。

    「② このサービスアカウントにプロジェクトへのアクセスを許可する(省略可)」では、サービスアカウントの権限を設定します。

    ここでは、下記の例のようにして「オーナー」を選択してください。

    サービスアカウント権限の入力画面の例

    サービスアカウント権限の入力画面の例

    選択したら、「続行」ボタンを押して次へ進みます。

    「③ ユーザーにこのサービスアカウントへのアクセスを許可(省略可)」では、何も行わずに「完了」を押してスキップします。

    スキップする画面の例

    スキップする画面の例

    サービスアカウントの作成が完了すると、サービスアカウントの一覧画面へ戻ります。作成したサービスアカウントが表示されていることを確認してください。

    サービスアカウントの認証情報の取得

    作成したサービスアカウントを確認したら、「メール」列のリンクをクリックし、サービスアカウントの詳細画面へ移ります。

    サービスアカウントアカウント作成後の一覧画面の例

    サービスアカウントアカウント作成後の一覧画面の例

    上部の「キー」タブを選択して、サービスアカウントの認証に必要な秘密鍵を管理する画面へ移ります。

    サービスアカウントの詳細画面の例

    サービスアカウントの詳細画面の例

    「鍵を追加」ボタンから「新しい鍵を作成」を選択し、秘密鍵の作成を開始します。

    鍵の作成ボタンの表示例

    鍵の作成ボタンの表示例

    次の画面では、「JSON」を選択した状態のまま「作成」ボタンを押します。

    タイプ選択画面の例

    タイプ選択画面の例

    「作成」ボタンを押すと、秘密鍵ファイル(.json)が自動的にダウンロードされます。

    秘密鍵ファイルをテキストエディタで開くと、下記のような構成になっているはずです。

    {
      "type": "service_account",
      "project_id": "???",
      "private_key_id": "???",
      "private_key": "-----BEGIN PRIVATE KEY-----\n???\n-----END PRIVATE KEY-----\n",
      "client_email": "???@???.iam.gserviceaccount.com",
      "client_id": "???",
      "auth_uri": "https://accounts.google.com/o/oauth2/auth",
      "token_uri": "https://oauth2.googleapis.com/token",
      "auth_provider_x509_cert_url": "https://www.googleapis.com/oauth2/v1/certs",
      "client_x509_cert_url": "???",
      "universe_domain": "googleapis.com"
    }

    上記のうち、project_id / private_key / client_email の内容を動作確認で使用します。

    動作確認

    まずは動作確認を行ってみましょう。

    プロジェクトファイルを入手

    1. GitHub (monowireless/spot-google-sheets) から Zip ファイルをダウンロードします
    2. Zip ファイルを展開し、フォルダ名を spot-google-sheets-main から spot-google-sheets に変更します
    3. Arduino のスケッチブックの保存場所(Arduino IDE 環境設定に記載。例:C:\Users\foo\Documents\Arduino)に spot-google-sheets フォルダを配置します

    スケッチの設定ファイルを修正

    Arduino スケッチ spot-google-sheets.ino を開き、画面上部の config.h タブを選択して、4-11行目の値を修正してください。

    4-5行目は、無線 LAN 関連の設定です。

    const char* WIFI_SSID = "YOUR SSID";            // Modify it
    const char* WIFI_PASSWORD = "YOUR PASSWORD";    // Modify it
    

    SSID と パスワードを設定しています。

    一方、8-11行目はスプレッドシート関連の設定です。

    const char* PROJECT_ID = "YOUR-PROJECT-ID";                                                                         // Modify it
    const char* SERVICE_ACCOUNT_EMAIL = "YOUR-SERVICE-ACCOUNT@YOUR-PROJECT-ID.iam.gserviceaccount.com";                 // Modify it
    const char PRIVATE_KEY[] PROGMEM = "-----BEGIN PRIVATE KEY-----\nYOUR-PRIVATE-KEY\n-----END PRIVATE KEY-----\n";    // Modify it
    const char* USER_ACCOUNT_EMAIL = "YOUR-ACCOUNT@EMAIL";                                                              // Modify it
    

    最初の3項目には .json ファイルの内容をコピーして、最後の USER_ACCOUNT_EMAIL にはあなたがログインしている Google アカウントのメールアドレスを入力してください。

    スケッチを書き込み

    ESP32 へのスケッチの書き込み方法 を参考に、スケッチを書き込んでください。

    親機と子機を起動

    TWELITE SPOT のリセットボタン(ESP32 側)を押してください。

    Arduino のシリアルコンソールに以下のような表示がされたら、起動に成功しています。

    Initializing queue...
    Completed.
    Started TWELITE.
    Connecting to WiFi ...!...
    Connected. IP: xxx.xxx.xxx.xxx
    Initializing NTP...Completed. UNIX time: xxxxxxxxxx
    Initializing sheets...
    Creating sheets...
    OAuth2.0 access token on initializing
    OAuth2.0 access token on signing
    OAuth2.0 access token on exchange request
    OAuth2.0 access token ready
    Requesting to create...
    Succeeded.
    Adding headers for ARIA...
    Requesting to add header...
    Succeeded.
    Formatting the sheet for ARIA...
    Requesting to format...
    Succeeded.
    Extending the sheet for ARIA...
    Requesting to extend...
    Succeeded.
    Completed.

    TWELITE ARIA(初期設定)にもコイン電池を挿入し、電源を投入します。

    コイン電池の挿入

    コイン電池の挿入

    TWELITE SPOT が TWELITE ARIA からのパケットを正常に受信し、データ列の追加に成功すると、下記のような表示がなされます。

    Got a new packet from ARIA.
    Got a new packet from ARIA.
    Requesting to add data...
    Got a new packet from ARIA.
    Succeeded.

    ちなみに、上記の例ではリクエスト中にパケットを受信しています。後述のマルチタスクに成功している証です!

    Google へアクセス

    Google ドライブの 共有アイテム へアクセスし、SPOT Sheet (xxx) という名前のスプレッドシートを開きます。

    以下のような画面が表示されます。

    スプレッドシート画面のイメージ

    スプレッドシート画面のイメージ

    スクロールしていくと、TWELITE ARIA からのデータを確認できるはずです。

    スケッチ解説

    Arduino スケッチ spot-google-sheets.ino の解説です。

    ライブラリのインクルード

    Arduino および ESP32 公式ライブラリ

    4-7行目では、Arduino および ESP32 の公式ライブラリをインクルードしています。

    #include <Arduino.h>
    #include <NTPClient.h>
    #include <WiFi.h>
    #include <WiFiUdp.h>
    ヘッダファイル内容備考
    Arduino.hArduino の基本ライブラリ
    NTPClient.hNTP を使うファイル名と受信時刻に使用
    WiFi.hESP32 の WiFi を使う
    WiFiUdp.hUDP を使うNTPClient に必要

    サードパーティのライブラリ

    10-11行目では、サードパーティのライブラリをインクルードしています。

    #include <ESP_Google_Sheet_Client.h>
    #include <TimeLib.h>
    ヘッダファイル内容備考
    ESP_Google_Sheet_Client.hGoogle へアクセスする
    TimeLib.hUNIX 時間をフォーマットする

    MWings ライブラリ

    14行目では、MWings ライブラリをインクルードしています。

    #include <MWings.h>

    ユーザ設定の定義

    17行目では、config.h をインクルードしています。

    #include "config.h"

    無線 LAN 設定の定義

    config.h の4-5行目では、TWELITE SPOT に搭載された ESP32 に適用する無線 LAN 設定を定義します。

    const char* WIFI_SSID = "YOUR SSID";            // Modify it
    const char* WIFI_PASSWORD = "YOUR PASSWORD";    // Modify it
    
    名称内容
    WIFI_SSID接続するネットワークの SSID
    WIFI_PASSWORD接続するネットワークの パスワード

    API 設定の定義

    config.h の8-11行目では、API の設定を定義しています。

    const char* PROJECT_ID = "YOUR-PROJECT-ID";                                                                         // Modify it
    const char* SERVICE_ACCOUNT_EMAIL = "YOUR-SERVICE-ACCOUNT@YOUR-PROJECT-ID.iam.gserviceaccount.com";                 // Modify it
    const char PRIVATE_KEY[] PROGMEM = "-----BEGIN PRIVATE KEY-----\nYOUR-PRIVATE-KEY\n-----END PRIVATE KEY-----\n";    // Modify it
    const char* USER_ACCOUNT_EMAIL = "YOUR-ACCOUNT@EMAIL";                                                              // Modify it
    
    名称内容
    PROJECT_IDプロジェクト ID
    SERVICE_ACCOUNT_EMAILサービスアカウントのメールアドレス
    PRIVATE_KEY秘密鍵の本体
    USER_ACCOUNT_EMAILスプレッドシートを共有するユーザアカウントのメールアドレス

    ピン番号の定義

    20-24行目では、ピン番号を定義しています。

    const uint8_t TWE_RST = 5;
    const uint8_t TWE_PRG = 4;
    const uint8_t LED = 18;
    const uint8_t ESP_RXD1 = 16;
    const uint8_t ESP_TXD1 = 17;
    名称内容
    TWE_RSTTWELITE の RST ピンが接続されているピンの番号
    TWE_PRGTWELITE の PRG ピンが接続されているピンの番号
    LED基板上の ESP32 用 LED が接続されているピンの番号
    ESP_RXD1TWELITE の TX ピンが接続されているピンの番号
    ESP_TXD1TWELITE の RX ピンが接続されているピンの番号

    TWELITE 設定の定義

    27-30行目では、TWELITE SPOT に搭載された TWELITE 親機に適用する設定を定義しています。

    const uint8_t TWE_CH = 18;
    const uint32_t TWE_APPID = 0x67720102;
    const uint8_t TWE_RETRY = 2;
    const uint8_t TWE_POWER = 3;
    名称内容
    TWE_CHTWELITE の 周波数チャネル
    TWE_APPIDTWELITE の アプリケーション ID
    TWE_RETRYTWELITE の 再送回数(送信時)
    TWE_POWERTWELITE の 送信出力

    シート関連の定義

    32-43行目では、シートに関連した情報を定義しています。

    const char* SPREADSHEET_TITLE_PREFIX = "SPOT Sheet";
    const char* SPREADSHEET_LOCALE = "ja_JP";
    const char* SPREADSHEET_TIME_ZONE = "Asia/Tokyo";
    
    const int MIN_REQUEST_INTERVAL = 1000;    // 60 requests per minute
    
    const int SHEETS_DEFAULT_ROWS = 1000;            // Default length is 1000 rows
    const int SHEETS_ROWS = 100000;                  // Max 1,000,000 rows at 10 columns
    
    const int ARIA_SHEET_ID = 1;
    const char* ARIA_SHEET_TITLE = "ARIA";
    constexpr int ARIA_BUFFER_PACKETS = 32;    // Max number of rows per addition request
    
    名称内容
    SPREADSHEET_TITLE_PREFIXスプレッドシートのファイル名の固定部分
    SPREADSHEET_LOCALEスプレッドシートのロケール
    SPREADSHEET_TIME_ZONEスプレッドシートのタイムゾーン
    MIN_REQUEST_INTERVALリクエスト送信の最小間隔
    SHEETS_DEFAULT_ROWS各シートのデフォルトの行数
    SHEETS_ROWS各シートの行数
    ARIA_SHEET_IDARIA 用シートの ID
    ARIA_SHEET_TITLEARIA 用シートの名称
    ARIA_BUFFER_PACKETSARIA からのパケットを格納するキューの長さ

    型の宣言

    46-50行目では、型を宣言しています。

    struct ParsedAppAriaPacketWithTime {
        ParsedAppAriaPacket packet;
        uint32_t elapsedMillis;
        uint32_t unixTime;
    };
    名称内容
    ParsedAppAriaPacketWithTime受信したパケットデータを受信時刻と合わせてキューへ格納するための型
    • elapsedMillis :パケット受信時の起動からの経過時間(ミリ秒)
    • unixTime :パケット受信時の UNIX 時間(秒)です。

    グローバルオブジェクトの宣言

    53-61行目では、グローバルオブジェクトを宣言しています。

    WiFiUDP ntpUDP;
    NTPClient timeClient(ntpUDP, "ntp.nict.jp", 32400);
    
    String spreadsheetIdString;    // Identifier of newly created file
    bool readyForNewRequests = false;
    uint32_t lastTimeRequestWasSent = UINT32_MAX;
    
    QueueHandle_t ariaPacketQueue;       // Store received data from ARIA
    uint32_t rowToAddNewAriaData = 2;    // Starting with the Row 2
    
    名称内容
    ntpUDPNTP のための UDP インタフェース
    timeClientNTP のインタフェース
    spreadsheetIdString作成したスプレッドシートのID
    readyForNewRequests新たなリクエストを送信できる状態になったら true
    lastTimeRequestWasSent最後にリクエストを送信した時間
    ariaPacketQueueARIA から受信したパケットと受信時刻を格納するキュー
    rowToAddNewAriaData次に ARIA から受信したデータを追加する行

    関数プロトタイプの宣言

    64-71行目では、関数プロトタイプを宣言しています。

    void anotherLoop();
    
    void waitUntilNewRequestsReady();
    String createSpreadsheet();
    bool formatSheet(const String spreadsheetId, const int sheetId);
    bool extendSheet(const String spreadsheetId, const int sheetId, const int rows);
    bool addSheetAriaHeaderRow(const String spreadsheetId, const char* const sheetTitle);
    bool addSheetsDataRow(const String spreadsheetId);
    名称内容
    anotherLoop()非同期で TWELITE の処理を行う、もうひとつの loop()
    waitUntilNewRequestsReady()次のリクエストを送信可能になるまで待機する
    createSpreadsheet()スプレッドシートを新規作成する
    formatSheet()指定したシートの書式を設定する
    extendSheet()指定したシートの行を増やし、書式を設定する
    addSheetAriaHeaderRow()指定したシートへ ARIA 向けのヘッダー行を追加する
    addSheetsDataRow()シートへデータ行を追加する

    キューの設定

    82-83行目では、受信したパケットデータを受信時刻と合わせて格納するためのキューを初期化しています。

    ariaPacketQueue = xQueueCreate(ARIA_BUFFER_PACKETS, sizeof(ParsedAppAriaPacketWithTime));
    if (ariaPacketQueue == 0) { Serial.println("Failed to init a queue."); }

    xQueueCreate() は、ESP32 の内部で動作する FreeRTOS の機能です。マルチタスクに対応したキューを簡単に作成することができます。

    TWELITE の設定

    88-92行目では、Twelite.begin() を呼び出し、TWELITE SPOT に搭載された TWELITE 親機の設定と起動を行っています。

    Serial2.begin(115200, SERIAL_8N1, ESP_RXD1, ESP_TXD1);
        if (Twelite.begin(Serial2,
                          LED, TWE_RST, TWE_PRG,
                          TWE_CH, TWE_APPID, TWE_RETRY, TWE_POWER)) {
            Serial.println("Started TWELITE.");
        }
    引数内容
    Serial2HardwareSerial&TWELITE との通信に使うシリアルポート
    LEDintステータス LED を接続したピンの番号
    TWE_RSTintTWELITE の RST ピンを接続したピンの番号
    TWE_PRGintTWELITE の PRG ピンを接続したピンの番号
    TWE_CHANNELuint8_tTWELITE の 周波数チャネル
    TWE_APP_IDuint32_tTWELITE の アプリケーション ID
    TWE_RETRYuint8_tTWELITE の 再送回数(送信時)
    TWE_POWERuint8_tTWELITE の 送信出力

    イベントハンドラの登録

    94-103行目では、TWELITE ARIA からのパケットを受信した際に行う処理を登録しています。

    Twelite.on([](const ParsedAppAriaPacket& packet) {
        Serial.println("Got a new packet from ARIA.");
        ParsedAppAriaPacketWithTime packetWithTime;
        packetWithTime.elapsedMillis = millis();
        packetWithTime.unixTime = timeClient.getEpochTime();
        packetWithTime.packet = packet;
        if (not(xQueueSend(ariaPacketQueue, &packetWithTime, 0) == pdPASS)) {
            Serial.println("Failed to add packet data to the queue.");
        }
    });

    ここでは、xQueueSend() により、受信したパケットデータを受信時刻と合わせてキューの末尾へ格納しています。

    無線 LAN の設定

    106-120行目では、無線 LAN の設定を行っています。

    WiFi.mode(WIFI_STA);
    WiFi.setAutoReconnect(true);
    WiFi.begin(WIFI_SSID, WIFI_PASSWORD);
    Serial.print("Connecting to WiFi ..");
    while (WiFi.status() != WL_CONNECTED) {
        static int count = 0;
        Serial.print('.');
        delay(500);
        // Retry every 5 seconds
        if (count++ % 10 == 0) {
            WiFi.disconnect();
            WiFi.reconnect();
            Serial.print('!');
        }
    }

    ここでは、無線 LAN 子機として設定したうえで、指定のネットワークへ接続しています。

    NTP の設定

    126-127行目では、NTP の設定をしています。

    timeClient.begin();
    timeClient.update();

    Google スプレッドシートの設定

    132-145行目では、Google スプレッドシートを設定しています。

    GSheet.setTokenCallback([](TokenInfo info) {
        // Print token initialization states
        if (info.status == esp_signer_token_status_error) {
            Serial.print("Token error ");
            Serial.println(GSheet.getTokenError(info));
        }
        Serial.print(GSheet.getTokenType(info));
        Serial.print(" ");
        Serial.println(GSheet.getTokenStatus(info));
    });
    GSheet.setPrerefreshSeconds(60);    // Set refresh rate for auth token
    
    Serial.println("Initializing sheets...");
    GSheet.begin(SERVICE_ACCOUNT_EMAIL, PROJECT_ID, PRIVATE_KEY);

    132-141行目でサービスアカウントのトークンを取得する際の状態表示の処理を登録したあと、142行目でトークンの再取得間隔を設定、145行目でサービスアカウントの初期化をしています。

    また、147-173行目では、スプレッドシートの作成、ARIA 向けヘッダー行の追加、セルの書式設定、そして行の拡張を行っています。

    Serial.println("Creating sheets...");
    waitUntilNewRequestsReady();    // Wait for token
    spreadsheetIdString = createSpreadsheet();
    if (not(spreadsheetIdString.length() > 0)) {
        Serial.println("Failed to create sheets.");
    }
    
    Serial.println("Adding headers for ARIA...");
    delay(MIN_REQUEST_INTERVAL);
    waitUntilNewRequestsReady();
    if (not addSheetAriaHeaderRow(spreadsheetIdString, ARIA_SHEET_TITLE)) {
        Serial.println("Failed to add headers.");
    }
    
    Serial.println("Formatting the sheet for ARIA...");
    delay(MIN_REQUEST_INTERVAL);
    waitUntilNewRequestsReady();
    if (not formatSheet(spreadsheetIdString, ARIA_SHEET_ID)) {
        Serial.println("Failed to format.");
    }
    
    Serial.println("Extending the sheet for ARIA...");
    delay(MIN_REQUEST_INTERVAL);
    waitUntilNewRequestsReady();
    if (not extendSheet(spreadsheetIdString, ARIA_SHEET_ID, SHEETS_ROWS - SHEETS_DEFAULT_ROWS)) {
        Serial.println("Failed to extend.");
    }

    タスクの登録

    179-186行目では、TWELITE のデータを非同期で更新するためのタスクを登録しています。

    xTaskCreatePinnedToCore(
        [](void* params) {
            while (true) {
                anotherLoop();
                vTaskDelay(1);
            }
        },
        "Task for anotherLoop()", 8192, nullptr, 18, nullptr, 0);

    xTaskCreatePinnedToCore() は、FreeRTOS のマルチタスク機能に含まれる関数です。

    ここでは、180-185行目のラムダ式を渡し、anotherLoop() を無限に呼ぶタスクを登録しています。

    [](void* params) {
        while (true) {
            anotherLoop();
            vTaskDelay(1);    // IMPORTANT for Watchdog
        }
    },

    タスクの名称は Task for anotherLoop() で、スタックサイズは 8192 、タスクへのパラメータはなく、優先度は 18(大きいほど高く、無線 LAN 関連の処理は1個上の 19)、タスクを操作するインタフェースもなく、実行する CPU コアは無線 LAN などの RF 処理と同じ Core 0 です( loop() 等は Core 1 )。

    "Task for anotherLoop()", 8192, nullptr, 18, nullptr, 0);    // Priority is 18 (lower than WiFi)
    

    TWELITE のデータの更新

    203行目では、anotherLoop() 内にて Twelite.update() を呼び出しています。

    Twelite.update();

    Twelite.update() は、TWELITE 親機から送信されるパケットデータ(ModBus ASCII 形式)を順次1バイトずつ読み出す関数です。

    スプレッドシートの更新

    192-195行目では、スプレッドシートの更新処理を呼び出しています。

    if (millis() - lastTimeRequestWasSent > MIN_REQUEST_INTERVAL) {
        // Add available data
        addSheetsDataRow(spreadsheetIdString);
    }

    192行目の if 文では、60リクエスト毎分の API 制限を守るために、前回のリクエスト送信から必ず 1 秒以上空けるようにしています(JavaScript の Throttle / Debounce における Throttle に相当します)。

    194行目では、必要に応じてスプレッドシートへデータ行を追加します。

    addSheetsDataRow(spreadsheetIdString);

    API ライブラリの更新

    196行目では、Google API 用ライブラリの更新を行い、リクエストの送信可否の状態を取得しています。

    readyForNewRequests = GSheet.ready();

    NTP ライブラリの更新

    197行目では、NTP ライブラリの更新を行っています。

    timeClient.update();

    スプレッドシートの操作

    217行目以降では、Sheets API によるスプレッドシートの操作を行っています。

    詳しくは ライブラリの API リファレンスSheets API の REST リソース をご覧ください。

    関連情報

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