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シリアル通信アプリの書式モード(アスキー形式)

送受信双方の出力にヘッダを付加するモード(アスキー形式)
書式モードは、送受信双方の出力にヘッダを付加します。アスキー形式では、データを16進数の文字列で表します。
書式モードによるネットワークの構成例

概要

送信側の端末へ特定の書式に従ったデータを入力すると、受信側の端末も特定の書式に従ったデータを出力します。

データは16進数のアスキー文字列で表現します。

送信側の入力受信側の出力
簡易形式/拡張形式のデータ簡易形式/拡張形式のデータ
  • TWELITE UART では、SET ピンを GND へ接続して起動すると書式モード(アスキー)が有効となります。
  • TWELITE / TWELITE DIP では、EX1 ピンを GND へ接続して起動すると書式モード(バイナリ)が有効となります。

扱うことのできる書式の形式は2種類あります。

  • 簡易形式:論理デバイスIDだけを使用する。超簡単!標準アプリのUART伝送機能と互換性あり
  • 拡張形式:論理デバイスIDに加えて、シリアルIDや再送回数などの送信オプションを使用できる

例えば、5バイトのバイナリデータ 0x48 0x45 0x4C 0x4C 0x4F は、簡易形式を使って次のように送信できます。

【送信側】

:000148454C4C4F8B  <- 入力
:DBA1800103  <- 出力

【受信側】

:780148454C4C4F13  <- 出力

基本の書式

基本形式や拡張形式で表現したデータ列を送信するときは、アスキー文字列(0-9,A-F)へ変換します。

書式は超簡単!標準アプリ(App_Twelite)や親機・中継機アプリ(App_Wings)の親機の出力と同様に、:で始まりCRLFで終わります。

ヘッダペイロードチェックサムフッタ
:00-FFの繰り返しペイロードのLRC8CRLF
  • すべて ASCII 文字
  • 先頭は : (0x3A)
  • チェックサムはペイロードの合計の2の補数
  • 末端は CRLF (\r\n/0x0D 0x0A)
  • ビッグエンディアン

例えば、バイナリデータ 0x00 0x11 0x22 0x33 0xAA 0xBB 0xCC は次のように表現します。

:00112233AABBCC69<CR><LF>

親機と子機の区別

書式モードは、親機と子機を区別します。

親子間では、アプリケーションIDと周波数チャネルを合わせる必要があります。

送信元の判別

書式モードでは、受信したデータから送信元を判別できます。

簡易形式の書式では論理デバイスIDを、拡張形式の書式では論理デバイスIDに加えて拡張アドレスを利用します。

簡易形式の書式

書式モードの簡易形式を利用する場合は、次の書式に従います。

送信側の入力

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信先の論理デバイスID親機0x00,子機0x01-0x64,全子機0x78
1uint8コマンド番号0x80未満の任意の値
2[uint8]任意のデータ長さ\(N\)のバイト列(\(N\leqq80\)を推奨)
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

受信側の出力

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信元の論理デバイスID親機0x00,子機0x01-0x64,未設定子機0x78
1uint8コマンド番号送信側で指定した0x80未満の値
2[uint8]任意のデータ長さ\(N\)のバイト列
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

送信側の出力(応答メッセージ)

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信元の論理デバイスID0xDBのみ:自身を示す
1uint8コマンド番号0xA1のみ
2uint8応答ID128-255(0x80-0xFF)の範囲で続き番号を示す
3uint8処理結果成功1,失敗0
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

使用例

親機から全子機に対してバイト列 0x11 0x22 0x33 0xAA 0xBB 0xCC を送信する例を示します。

【送信側:親機】

:7801112233AABBCCF0<CR><LF>  <- 入力
:DBA1800103<CR><LF>  <- 出力

末尾の0xF0はチェックサム:0x78から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

【受信側:全子機】

:0001112233AABBCC68<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x68はチェックサム:0x00から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

拡張形式の書式

書式モードの拡張形式を利用する場合は、次の書式に従います。

送信側の入力

送信先の指定に論理デバイスIDを使用する場合

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信先の論理デバイスID親機0x00,子機0x01-0x64,全子機0x78
1uint8コマンド番号0xA0のみ
2uint8応答ID任意の値
3[uint8]オプション長さ\(N\)のオプション列
3+\(N\)[uint8]任意のデータ長さ\(M\)のバイト列(\(M\leqq80\)を推奨)
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

送信先の指定に拡張アドレスを使用する場合

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8拡張アドレスの指定0x80のみ
1uint8コマンド番号0xA0のみ
2uint8応答ID任意の値
3uint32送信先の拡張アドレスシリアルIDの先頭へ0x8を加えた値
7[uint8]オプション長さ\(N\)のオプション列
7+\(N\)[uint8]任意のデータ長さ\(M\)のバイト列(\(M\leqq80\)を推奨)
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

オプション列の詳細

拡張形式では、オプション列を指定することで細かな設定を行うことができます。

オプション列は、オプションのIDと引数の繰り返しで表現します。終端は 0xFF とします。

ID引数初期値内容
0x01なし無効MAC ACKの有効化
0x02uint80x00アプリケーション再送の有効化
0x03uint160x0000初回送信の遅延の最小値
0x04uint160x0000初回送信の遅延の最大値
0x05uint1610アプリケーション再送の間隔
0x06なし無効平行要求の許可
0x07なし無効応答メッセージの無効化
0x08なし無効送信後スリープ
0x01:MAC ACKの有効化

MAC層のACK(確認応答)を有効化します。

頻繁にデータを送信する場合には適しませんが、信頼性を向上できる場合があります。

0x02:アプリケーション再送の有効化

MAC ACK を使用するときは、0x00-0x0Fを指定します。送信に成功するまで、それぞれ0-16回の再送を行います。

MAC ACK を使用しないときは、0x81-0x8Fを指定します。必ず1-16回の再送を行います。

応答メッセージは、すべての再送が終了してから出力します。

0x03:初回送信の遅延の最小値

初回送信までの遅延の最小値をミリ秒で指定できます。

0x04:初回送信の遅延の最大値

初回送信までの遅延の最大値をミリ秒で指定できます。

0x05:アプリケーション再送の間隔

アプリケーション再送を有効化した際の再送間隔をミリ秒で指定します。

0x06:平行要求の許可

平行要求を許可します。

平行要求を許可すると、要求を完了するまでブロックせず、次の要求処理を受け付けることができるようになります。

例えば 0.5 秒の遅延を設定した要求を3回連続して入力した場合、初期状態では 0.5 秒後、1.0秒後、1.5秒後と順番に処理します。ところが、平行要求を許可した場合は、0.5秒後に順不同で送信要求を処理します。なおパケット分割を必要とする場合は使用できません。

0x07:応答メッセージの無効化

送信側へデータを入力した際に出力される応答メッセージを無効とします。

0x08:送信後スリープ

送信後、速やかに本体をスリープさせます。

RXが立ち上がりエッジを検知すると、スリープから復帰します。何か1バイトのデータを入力してください。

スリープ復帰後、UART の初期化が終わると入力を受け付けます。

受信側の出力

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信元の論理デバイスID親機0x00,子機0x01-0x64,未設定子機0x78
1uint8コマンド番号0xA0のみ
2uint8応答ID送信側で指定した値
3uint32送信元の拡張アドレスシリアルIDの先頭へ0x8を加えた値
7uint32送信先の拡張アドレス論理デバイスID使用時は0xFFFFFFFF
11uint8LQI受信時の電波通信品質
12uint16続くバイト列の長さバイト数\(M\)を表す
14[uint8]任意のデータ長さ\(M\)のバイト列
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

送信側の出力(応答メッセージ)

#データ内容備考
charヘッダ:のみ
0uint8送信元の論理デバイスID0xDBのみ:自身を示す
1uint8コマンド番号0xA1のみ
2uint8応答ID入力時に指定した値
3uint8処理結果成功1,失敗0
uint8チェックサムLRC8
charフッタCR (0x0D/'\r')
charフッタLF (0x0A/'\n')

使用例

親機から子機に対してバイト列 0x11 0x22 0x33 0xAA 0xBB 0xCC を送信する例を示します。

論理デバイスIDを指定する例

親機から論理デバイスID0x42の子機へ送信する例を示します。

  • 応答IDは0x01
  • オプションなし
  • 親機の拡張アドレスは0x81000000(シリアルID0x1000000

【送信側:親機】

:42A001FF112233AABBCC87<CR><LF>  <- 入力
:DBA1010182<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x87はチェックサム:0x42から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

【受信側:子機】

:00A00181000000FFFFFFFFC80006112233AABBCC7D<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x7Dはチェックサム:最初の0x00から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

拡張アドレスを指定する例

親機から拡張アドレス0x81000001(シリアルID0x1000001)の子機へ送信する例を示します。

  • 応答IDは0x01
  • オプションなし
  • 親機の拡張アドレスは0x81000000(シリアルID0x1000000

【送信側:親機】

:80A00181000001FF112233AABBCCC7<CR><LF>  <- 入力
:DBA1010182<CR><LF>  <- 出力

末尾の0xC7はチェックサム:0x80から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

【受信側:子機】

:00A0018100000081000001C80006112233AABBCCF7<CR><LF>  <- 出力

末尾の0xF7はチェックサム:最初の0x00から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

MAC ACKを使用する例

親機から論理デバイスID0x42の子機へ MAC ACK を使用して送信する例を示します。

  • 応答IDは0x01
  • オプションは0x01:MAC ACKの有効化を指定
  • 親機の拡張アドレスは0x81000000(シリアルID0x1000000

【送信側:親機】

:42A00101FF112233AABBCC86<CR><LF>  <- 入力
:DBA1010182<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x86はチェックサム:0x42から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

【受信側:子機】

:00A00181000000FFFFFFFFC80006112233AABBCC7D<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x7Dはチェックサム:0x00から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

遅延を設ける例

親機から論理デバイスID0x42の子機へ 768ms の遅延を設けて送信する例を示します。

【送信側:親機】

:42A001030300FF112233AABBCC81<CR><LF>  <- 入力
:DBA1010182<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x81はチェックサム:0x42から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

【受信側:子機】

:00A00181000000FFFFFFFFC80006112233AABBCC7D<CR><LF>  <- 出力

末尾の0x7Dはチェックサム:0x00から0xCCまでの合計の2の補数のLSBから8ビット。

0xDB コマンド

インタラクティブモードの設定を行う代わりに、UART から 0xDB コマンドを入力することでモジュールの操作や設定を行うことができます。


シリアル通信アプリ 書式モード(アスキー)の 0xDB コマンド

書式モード(アスキー)におけるインタラクティブモードを使用しない設定機能