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2024-12-02 現在

TWELITE WINGS API / MWings

TWELITE の親機を接続した端末で利用するライブラリ
MWings は、親機・中継機アプリ(App_Wings)を書き込んだ TWELITE を接続した端末で利用するライブラリです。App_Wings が出力する書式文字列を解釈し、親機が受信したデータを端末へ提供します。また、App_Wings へのコマンドを構成し、子機を操作します。

1 - TWELITE Wings API / MWings for Python

Python のための TWELITE Wings API / MWings

1.1 - TWELITE Wings API / MWings for Python

最新版
TWELITE Wings API (MWings) を使うことで、PC 上の Python スクリプトから TWELITE を扱うことができるようになります。

ライブラリの概要

TWELITE Wings API (以降 MWings) は、Python スクリプトから TWELITE を扱うためのライブラリです。

機能

ホストへ接続された TWELITE の親機を通じて、TWELITE の子機と通信できます。

  • 受信データを解釈して、辞書や JSON のほか pandas データフレームへ変換※
  • 辞書から生成したコマンドを親機へ送信

※ Lite版は pandas に非対応

用途例

例えば、次のようなシステムを実現できます。

  • MONOSTICK で受信した温湿度データを JSON としてクラウドサーバへ送信
  • MONOSTICK で受信した加速度データを CSV または Excel ファイルへ記録※
  • PC から MONOSTICK を通じて TWELITE DIP へ接続された LED を制御

※ Lite版は、直接 CSV や Excel ファイルを出力できません

特徴

モダン Python の モダン Python による モダン Python のためのモジュールです。

  • pip や poetry を使って導入できる
  • 型ヒント へ対応している
  • pydantic により、送受信データのバリデーションを実施している
  • 基本的に PEP8 へ準拠している※

※ 例外あり。詳細は後述

インストール

PyPI から入手できます。

pip の場合


pip install mwings

poetry の場合


poetry add mwings

最も簡単なサンプルスクリプト

わずか6行で超簡単!標準アプリ(App_Twelite)の受信データを JSON 形式で出力できます。

import mwings as mw
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
    print(packet.to_json())
twelite.start()

環境整備と動作確認

用意するもの

  • PC
  • MONOSTICK(親機・中継機アプリ/デフォルト設定)
  • TWELITE DIP(超簡単!標準アプリ/デフォルト設定)
    • スイッチなどのペリフェラルを接続しておく(例:DI1 ポートと GND 間にタクトスイッチを接続)

環境整備

pyenv の導入

処理系のバージョンを管理するために、pyenv を導入します。

Linux

curl https://pyenv.run | bash
macOS

brew update
brew install pyenv
Windows

Windows 向けの pyenv はありません。代わりに pyenv-win を使用します。

Invoke-WebRequest -UseBasicParsing -Uri "https://raw.githubusercontent.com/pyenv-win/pyenv-win/master/pyenv-win/install-pyenv-win.ps1" -OutFile "./install-pyenv-win.ps1"; &"./install-pyenv-win.ps1"

pyenv / pyenv-win による Python の導入

MWings が対応する Python 3.12 以降(Lite版は3.11以降)の処理系を導入します。

導入できるバージョンの一覧を取得するには、下記を実行します。

pyenv install -l

ここでは例として、Python 3.12.4 を導入し、システム全体へ適用します。

pyenv install 3.12.4
pyenv global 3.12.4

導入済みバージョンの一覧を取得するには、下記を実行してください。

pyenv versions

pipx の導入

poetry のようなコマンドラインツールを隔離された環境で管理するために、pipx を導入します。

Linux

Debian系


sudo apt update
sudo apt install pipx
pipx ensurepath

pipから(Raspberry Piはこちらを推奨)


python3 -m pip install --user pipx
python3 -m pipx ensurepath

Fedora系


sudo dnf install pipx
pipx ensurepath

参考:Installation - pipx

macOS

brew install pipx
pipx ensurepath
Windows
scoop install pipx
pipx ensurepath

poetry の導入

プロジェクトに対する処理系のバージョンやモジュールの依存関係を Node.js のような形で管理するために、poetry を導入します。

pipx install poetry

プロジェクトの作成

ここでは、プロジェクト名を mwtest とします。

プロジェクトを作成するディレクトリへ移動し、下記を実行してください。

poetry new mwtest

mwtest ディレクトリを生成します。

プロジェクトの設定

プロジェクトへ移動し、先ほど pyenv で導入した 処理系のバージョンを紐付けます。

poetry env use 3.12.4

MWings を導入します。

poetry add mwings

最も簡単なサンプルスクリプトの作成

まずは、先ほど紹介したスクリプト を動かしてみましょう。

import mwings as mw
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
    print(packet.to_json())
twelite.start()

上記の内容で poetry が生成した __init__.py と同じ階層に simple.py を作成します。

📁 mwtest
└ 📁 mwtest
  ├ 📄 __init__.py
  └ 📄 simple.py

最も簡単なサンプルスクリプトの実行

MONOSTICK を接続し、実行します。

poetry run python simple.py

複数のシリアルポートが存在する場合は、シリアルポートを選択してください。

JSON 文字列の出力を得ることができたら成功です。実際の出力例を下記に示します。

{
  "time_parsed": "2024-02-20T03:16:50.150386+00:00",
  "packet_type": "APP_TWELITE",
  "sequence_number": 13699,
  "source_serial_id": "810E0E23",
  "source_logical_id": 120,
  "lqi": 84,
  "supply_voltage": 3249,
  "destination_logical_id": 0,
  "relay_count": 0,
  "periodic": true,
  "di_changed": [
    true,
    true,
    false,
    false
  ],
  "di_state": [
    false,
    false,
    false,
    false
  ],
  "ai_voltage": [
    8,
    272,
    1032,
    112
  ],
  "mwings_implementation": "python",
  "mwings_version": "1.0.0",
  "hostname": "silverstone.local",
  "system_type": "Darwin"
}

実用的なスクリプトの作成

simple.py はあくまでも説明用のサンプルです。実用的なスクリプトではありません。

なぜなら、twelite.start() がデータを受信するためのスレッドを作成するものの、これを終了する手段を用意していないからです。非常に読みづらいスクリプトでもあります。

次はより実用的なスクリプトを作成しましょう。それを実行したのち、内容を解説します。

今回は、下記の3点を条件とします。

  • Ctrl+C により、スレッドを正常終了できるようにすること
  • PEP8 へ準拠すること(一部例外あり、詳細は後述
  • 型ヒント を導入すること

これらを適用した例を下記に示します。

# -*- coding:utf-8 -*-
# Written for Python 3.12
# Formatted with Black

# MWings example: Receive data, print JSON, typed

from zoneinfo import ZoneInfo

import mwings as mw


# Main function
def main() -> None:
    # Create a twelite object
    twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())

    # Use JST for received data
    twelite.set_timezone(ZoneInfo("Asia/Tokyo"))

    # Register an event handler
    @twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
    def on_app_twelite(packet: mw.parsers.app_twelite.ParsedPacket) -> None:
        print(packet.to_json(verbose=True, spread=False))

    # Start receiving
    try:
        # Set as daemon thread
        twelite.daemon = True
        # Start the thread, Join to the main thread
        twelite.start()
        print("Started receiving")
        while True:
            twelite.join(0.5)
    except KeyboardInterrupt:
        # Stop the thread
        print("Flushing...")
        twelite.stop()
        print("Completed")


if __name__ == "__main__":
    # Call the main function
    main()

上記を practical.py として保存してください。

📁 mwtest
└ 📁 mwtest
  ├ 📄 __init__.py
  ├ 📄 simple.py
  └ 📄 practical.py

実用的なスクリプトの実行

下記のコマンドを実行すると、simple.py と同じようにして JSON 形式の出力を得ることができます。

poetry run python practical.py

ただし、今回はエラーを発生させずに Ctrl+C で終了できるほか、time_parsed は日本標準時になっているものと思います。

実用的なスクリプトの解説

コードの解説

practical.py を解説します。

import

practical.py では、2つのモジュールを import しています。

from zoneinfo import ZoneInfo

import mwings as mw
  • zoneinfo.ZoneInfo 受信時刻のタイムゾーンを指定するために使用します。
  • mwings MWings ライブラリです。mw に短縮して呼び出せるようにしています。Lite版の場合は mwingslite です。
オブジェクトの作成

mw.Twelite オブジェクトは、ホストへ接続された TWELITE の親機へアクセスするためのインタフェースとなります。

    # Create a twelite object
    twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())

mw.utils.ask_user_for_port() 関数は、ホストで利用できるシリアルポートの一覧を取得し、ユーザが選択したポートのファイルディスクリプタのパスや COM ポート名を返します。

タイムゾーンの設定

デフォルトでは、データの受信時刻を UTC として扱います。

practical.py では、これを JST としています。

    # Use JST for received data
    twelite.set_timezone(ZoneInfo("Asia/Tokyo"))

ZoneInfo には IANA のタイムゾーン識別子を渡してください。

受信ハンドラの登録

TWELITE の子機から送られるデータを処理するには、受信ハンドラを登録します。ここでは、超簡単!標準アプリ向けの受信ハンドラ内で受信したデータを JSON 形式に変換し、それを出力しています。

    # Register an event handler
    @twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
    def on_app_twelite(packet: mw.parsers.app_twelite.ParsedPacket) -> None:
        print(packet.to_json(verbose=True, spread=False))

受信ハンドラは、任意の関数へ twelite.on() デコレータ ? を適用することで登録できます。

受信ハンドラが受け取るデータクラス ParsedPacket は、JSON 形式の文字列へ変換する to_json()、辞書へ変換する to_dict()pandas データフレームへ変換する to_df() といったメソッドを備えています。

ここでは、to_json() メソッドを使って JSON 形式の文字列へと変換しています。

        print(packet.to_json(verbose=True, spread=False))
受信の開始と終了

mw.Twelite は、threading.Thread を継承しています 。practical.py では、twelite.start() が別のスレッドで受信処理を開始し、twelite.stop() がそれを停止しています。

    # Start receiving
    try:
        # Set as daemon thread
        twelite.daemon = True
        # Start the thread, Join to the main thread
        twelite.start()
        print("Started receiving")
        while True:
            twelite.join(0.5)
    except KeyboardInterrupt:
        # Stop the thread
        print("Flushing...")
        twelite.stop()
        print("Completed")

twelite.daemonTrue へ設定すると、受信処理を担うサブスレッドは デーモン化 されます。デーモンでない生存中のスレッドがすべて終了すると、 Python プログラム全体も終了します。ここではメインスレッド内で twelite.join() を繰り返し呼ぶことで、メインスレッドを待機させています。

メインスレッドは Ctrl+C の入力を検知すると except 節で twelite.stop() を呼び出し、受信処理を停止させます。twelite.stop() はサブスレッドが受信ハンドラの呼び出しを終えるまで待機します。

補足説明

PEP8 への対応

practical.py や MWings のソースコードは、PEP8 に対応したコードフォーマッタ Black を使ってフォーマットされています。

Black は一行の最大長を除き、いかなる設定も受け付けない頑固なフォーマッタですが、コーディング規約を策定・共有する手間を省くことができます。コーディングルールはしばしば物議を醸す議題ですが、そうした取るに足らない作業へ費やすリソースを有益な作業へ割り当てることこそが Python らしさの本質でしょう。

プロジェクトへ Black を追加するには、下記を実行します。

poetry add --group dev black

対象のファイルやディレクトリを指定して実行できます。

poetry run black mwtest

フォーマットせずに確認だけ行うこともできます。

poetry run black --check mwtest
型ヒントへの対応

practical.py や MWings のソースコードは、型ヒント へ対応しています。

MWings ライブラリは、Python 公式の静的型チェッカである mypy を使用しています。

プロジェクトへ mypy を追加するには、下記を実行します。

poetry add --group dev mypy

こちらも Black と同様に、対象のファイルやディレクトリを指定して実行できます。

poetry run mypy mwtest

関連情報

実用的なスクリプトの応用

practical.py をさらに発展させたスクリプトを公開しています。

mwings_python/examples at main

log_export.py

親機の出力を保存したテキストファイルを読み込み、解釈した結果を pandas データフレームへ保存し、最終的に CSV または Excel ファイルを出力します。Lite版は非対応。

rx_export.py

接続された親機の出力を受け取り、解釈した結果を pandas データフレームへ保存し、最終的に CSV または Excel ファイルを出力します。Lite版は非対応。

  • CSV ファイルを選択した場合、すべての結果を一つのファイルへ保存します。
  • 代わりに Excel ファイルを選択した場合、パケットの種別ごとに別のシートへ保存します。

rx_export_csv_durable.py

接続された親機の出力を受け取り、解釈した結果を送信元のシリアルIDごとに CSV ファイルへ追記していきます。Lite版は非対応。

rx_print_df.py

接続された親機の出力を受け取り、単に解釈した結果を pandas データフレームへ変換し、文字列として出力します。Lite版は非対応。

rx_print_dict.py

接続された親機の出力を受け取り、単に解釈した結果を辞書へ変換して出力します。Lite版も対応。

rx_print_json.py

接続された親機の出力を受け取り、単に解釈した結果を JSON 文字列へ変換して出力します。Lite版も対応。

tx_binary_uart.py

接続されたシリアル通信アプリの親機を介して、TWELITE UART へバイナリデータ [0xBE, 0xEF] を送ります。Lite版も対応。

接続された親機・中継機アプリの親機を介して、TWELITE DIP の DO1 ポートに接続された LED を点滅させます。Lite版も対応。

接続された親機・中継機アプリの親機を介して、通知パルの LED を各色で点灯させます。Lite版も対応。

API リファレンス

2 - TWELITE Wings API / MWings for 32-bit Arduinos

32ビット Arduino ボードのための TWELITE Wings API / MWings

2.1 - TWELITE Wings API / MWings for 32-bit Arduinos

最新版

2.1.1 - TWELITE SPOT に使用する

TWELITE SPOT に搭載された ESP32 に使用する方法
TWELITE SPOT スタートガイド:TWELITE 子機からのデータ受信 をご覧ください。

2.1.2 - Arduino UNO R4 に使用する

Arduino UNO R4 シリーズに使用する方法
Arduino UNO R4 シリーズへ TWELITE UART や TWELITE DIP などの TWELITE 親機を接続し、MWings ライブラリを使って子機との通信を行う方法を案内します。

ハードウェアの準備

TWELITE の準備

TWELITE UART や TWELITE DIP といった製品へ親機・中継機アプリ(App_Wings)を書き込みます。

書き込みには TWELITE STAGE APP を使用します。

Arduino UNO R4 との接続

TWELITE のピンのうち、下記を使用します。

  • VCC(3.3V へ接続)
  • GND(GND へ接続)
  • TXD(D0/RX へ接続)
  • RXD(D1/TX へ接続)
  • RST(D11 など任意のポートへ接続)
  • PRG(D12 など任意のポートへ接続)

ライブラリ付属のサンプルスケッチに準じた接続例を以下に示します。

Arduino との接続例

Arduino との接続例

ソフトウェアの準備

ライブラリの導入

Arduino ライブラリマネージャからインストールできます。

TWELITE SPOT マニュアル:MWings ライブラリの導入 を参照してください。

サンプルスケッチの動作確認

ライブラリには、各 TWELITE と通信を行うための簡単なサンプルスケッチを同梱しています。

例えば、超簡単!標準アプリ(App_Twelite)のデータを受信する場合は、メニューバーから以下のサンプルスケッチを開きます。

ファイル > スケッチ例 > MWings > Arduino UNO R4 > Receive > monitor_uno_r4_app_twelite
表示例

表示例

monitor_uno_r4_app_twelite.ino

// Monitor example for TWELITE with Arduino UNO R4: Receive data from App_Twelite

#include <Arduino.h>
#include "MWings.h"

const int RST_PIN = D11;
const int PRG_PIN = D12;
const int LED_PIN = D13;        // Use on-board LED as indicator

const uint8_t TWE_CHANNEL = 18;
const uint32_t TWE_APP_ID = 0x67720102;

void setup()
{
    // Initialize serial ports
    while (!Serial && millis() < 5000); // Wait for internal USB-UART
    Serial.begin(115200);
    Serial.println("Monitor example for TWELITE with Arduino UNO R4: App_Twelite");
    Serial1.begin(115200);

    // Initialize TWELITE
    if (Twelite.begin(Serial1,
                      LED_PIN, RST_PIN, PRG_PIN,
                      TWE_CHANNEL, TWE_APP_ID)) {
        Serial.println("Successfully initialized TWELITE");
    } else {
        Serial.println("Failed to initialize TWELITE");
    }

    // Attach an event handler to process packets from App_Twelite
    Twelite.on([](const ParsedAppTwelitePacket& packet) {
        Serial.println("");
        Serial.print("Packet Timestamp:  ");
        Serial.print(packet.u16SequenceNumber / 64.0f, 1); Serial.println(" sec");
        Serial.print("Source Logical ID: 0x");
        Serial.println(packet.u8SourceLogicalId, HEX);
        Serial.print("LQI:               ");
        Serial.println(packet.u8Lqi, DEC);
        Serial.print("Supply Voltage:    ");
        Serial.print(packet.u16SupplyVoltage, DEC); Serial.println(" mV");
        Serial.print("Digital Input:    ");
        Serial.print(packet.bDiState[0] ? " DI1:Lo" : " DI1:Hi");
        Serial.print(packet.bDiState[1] ? " DI2:Lo" : " DI2:Hi");
        Serial.print(packet.bDiState[2] ? " DI3:Lo" : " DI3:Hi");
        Serial.println(packet.bDiState[3] ? " DI4:Lo" : " DI4:Hi");
        Serial.print("Analog Input:     ");
        Serial.print(" AI1:"); Serial.print(packet.u16AiVoltage[0]); Serial.print(" mV");
        Serial.print(" AI2:"); Serial.print(packet.u16AiVoltage[1]); Serial.print(" mV");
        Serial.print(" AI3:"); Serial.print(packet.u16AiVoltage[2]); Serial.print(" mV");
        Serial.print(" AI4:"); Serial.print(packet.u16AiVoltage[3]); Serial.println(" mV");
    });
}

void loop()
{
    // Update TWELITE
    Twelite.update();
}

/*
 * Copyright (C) 2023 Mono Wireless Inc. All Rights Reserved.
 * Released under MW-OSSLA-1J,1E (MONO WIRELESS OPEN SOURCE SOFTWARE LICENSE AGREEMENT).
 */

以下は Arduino UNO R4 に固有の部分です。

ポート設定

6-8行目では、UART 関連を除く Arduino のポートを設定しています。

const int RST_PIN = D11;
const int PRG_PIN = D12;
const int LED_PIN = D13;        // Use on-board LED as indicator
ポート役割備考
D11TWELITEのRST制御上記の接続例参照
D12TWELITEのPRG制御上記の接続例参照
D13通信インジケータLED制御内蔵LEDを使用

USBシリアルポートの初期化待ち

16行目では、USB シリアルポート(Serial)の初期化を待っています。

    while (!Serial && millis() < 5000); // Wait for internal USB-UART

Arduino UNO R4 は、UNO R3 のように USB シリアル変換 IC を搭載しておらず、本体の ARM CPU が USB シリアル変換機能を担っています。 そのため、シリアルポートの初期化が終了する前は通信を行えません。

関連情報

2.1.3 - パケットパーサの拡張

パケットパーサを追加する方法
MWings ライブラリでは、パケットパーサを簡単に追加できます。

概要

パーサを追加するためには、次の4点のファイルを編集する必要があります。

  • (新規)パーサのヘッダファイル parser/FooBarPacketParser.h
    • 解釈するパケットの中身と、正規パケットの判定条件を書く
  • (新規)パーサのソースファイル parser/FooBarPacketParser.cpp
    • パケットの中身を解釈する部分を書く
  • (追記)本体のヘッダファイル MWings.h
    • パーサを追加する
  • (追記)本体のソースファイル MWings.cpp
    • パーサを追加する

パーサのヘッダファイル

parser/ 以下にある既存のファイルを複製したうえで名称変更してください。

ここでは、parser/AppTagAdcPacketParser.h を作成します。

#ifndef APPTAGADCPACKETPARSER_H
#define APPTAGADCPACKETPARSER_H

#include "MWings_Common.h"

/**
 * @struct ParsedAppTagAdcPacket
 * @brief  Packet content for App_Tag (ADC)
 */
struct ParsedAppTagAdcPacket final : public mwings::ParsedPacketBase {
    uint32_t u32RouterSerialId;
    uint8_t u8SensorType;
    uint16_t u16AiVoltage[2];
};

/**
 * @class apptagadc::PacketParser
 * @brief  Packet parser for App_Tag (ADC)
 */
namespace apptagadc {
class PacketParser final : public mwings::PacketParserBase {
public:
    // Check if the packet is from App_Tag (ADC)
    inline bool isValid(const BarePacket& barePacket) const override {
        if ((barePacket.u8At(12) == 0x10)
            and (barePacket.u32At(18) == 0)
            and (barePacket.u16PayloadSize == 22)) {
            return true;
        }
        return false;
    }

    // Parse from bare packet
    bool parse(const BarePacket& barePacket, mwings::ParsedPacketBase* const parsedPacket) const override;
};
}

extern apptagadc::PacketParser AppTagAdcPacketParser;

#endif  // APPTAGADCPACKETPARSER_H

解釈するパケットの中身の記述

はじめに、App_Tag(アナログセンサ)の出力書式を確認してください。

インクルードガードやnamespace、コメント文を置換したら、mwings::ParsedPacketBaseを継承し、パケットの中身を記述します。

ここでは、対象の子機に固有のデータを記述します。宛先の論理デバイスIDといった一般的なデータは、既にmwings::ParsedPacketBaseへ登録されているからです。

以下の部分において、App_Tag(アナログセンサ)に固有のデータを宣言しています。

struct ParsedAppTagAdcPacket final : public mwings::ParsedPacketBase {
    uint32_t u32RouterSerialId;
    uint8_t u8SensorType;
    uint16_t u16AiVoltage[2];
};

正規パケットの判定条件の記述

mwings::PacketParserBaseを継承したapptagadc::PacketParserを作成し、純粋仮想関数isValid()をオーバーライドすることで正規パケットの判定条件を記述してください。

この条件に沿ったパケットを受信したとき、解釈を行います。

以下の部分では、センサ種別が0x12(アナログセンサ)であること、未使用領域が0であること、ペイロードの長さが22バイトであることを確認しています。

inline bool isValid(const BarePacket& barePacket) const override {
    if ((barePacket.u8At(12) == 0x10)
        and (barePacket.u32At(18) == 0)
        and (barePacket.u16PayloadSize == 22)) {
        return true;
    }
    return false;
}

パーサのソースファイル

parser/ 以下にある既存のファイルを複製したうえで名称変更してください。

ここでは、parser/AppTagAdcPacketParser.cpp を作成します。

#include "AppTagAdcPacketParser.h"

apptagadc::PacketParser AppTagAdcPacketParser;

bool apptagadc::PacketParser::parse(const BarePacket& barePacket, mwings::ParsedPacketBase* const parsedPacket) const
{
    // WARNING: Note that there is NO RTTI
    ParsedAppTagAdcPacket* const parsedAppTagAdcPacket = static_cast<ParsedAppTagAdcPacket*>(parsedPacket);

    parsedAppTagAdcPacket->u32SourceSerialId = barePacket.u32At(7);
    parsedAppTagAdcPacket->u8SourceLogicalId = barePacket.u8At(11);
    parsedAppTagAdcPacket->u16SequenceNumber = barePacket.u16At(5);
    parsedAppTagAdcPacket->u8Lqi = barePacket.u8At(4);

    const uint16_t ecc = barePacket.u8At(13);
    if (ecc <= 170) {
        parsedAppTagAdcPacket->u16SupplyVoltage = 5 * ecc + 1950;
    } else {
        parsedAppTagAdcPacket->u16SupplyVoltage = 10 * (ecc - 170) + 2800;
    }

    parsedAppTagAdcPacket->u32RouterSerialId = barePacket.u32At(0);
    parsedAppTagAdcPacket->u8SensorType = barePacket.u8At(12);

    for (int i = 0; i < 2; i++) {
        parsedAppTagAdcPacket->u16AiVoltage[i] = barePacket.u16At(2*i+14);
    }

    return true;
}

解釈する部分の記述

ヘッダファイル名やnamespaceを置換したら、parse()の中身を記述します。

以下の部分では、データ書式に従ってパケットの中身を格納しています。

BarePacket.u8At()などのメソッドを使って、素のペイロードからデータを取り出します。

// WARNING: Note that there is NO RTTI
ParsedAppTagAdcPacket* const parsedAppTagAdcPacket = static_cast<ParsedAppTagAdcPacket*>(parsedPacket);

parsedAppTagAdcPacket->u32SourceSerialId = barePacket.u32At(7);
parsedAppTagAdcPacket->u8SourceLogicalId = barePacket.u8At(11);
parsedAppTagAdcPacket->u16SequenceNumber = barePacket.u16At(5);
parsedAppTagAdcPacket->u8Lqi = barePacket.u8At(4);

const uint16_t ecc = barePacket.u8At(13);
if (ecc <= 170) {
    parsedAppTagAdcPacket->u16SupplyVoltage = 5 * ecc + 1950;
} else {
    parsedAppTagAdcPacket->u16SupplyVoltage = 10 * (ecc - 170) + 2800;
}

parsedAppTagAdcPacket->u32RouterSerialId = barePacket.u32At(0);
parsedAppTagAdcPacket->u8SensorType = barePacket.u8At(12);

for (int i = 0; i < 2; i++) {
    parsedAppTagAdcPacket->u16AiVoltage[i] = barePacket.u16At(2*i+14);
}

本体のヘッダファイル

既存のパーサに加えて、新たなパーサを追加します。

インクルード文の追加

パケットパーサのヘッダファイルをインクルードします。

//// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
#include "parser/AppTagAdcPacketParser.h"

初期化子リストの拡張

イベントハンドラをnullptrで初期化します。

               //// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
               _onAppTagAdcPacket(nullptr),

終了処理の追加

イベントハンドラをnullptrに戻します。

//// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
_onAppTagAdcPacket = nullptr;

イベントハンドラの登録メソッドの追加

イベントハンドラを登録するon()メソッドを追加します。

//// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
inline void on(void (*callback)(const ParsedAppTagAdcPacket& packet)) { _onAppTagAdcPacket = callback; }

イベントハンドラの追加

イベントハンドラを格納するポインタを追加します。

//// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
void (*_onAppTagAdcPacket)(const ParsedAppTagAdcPacket& packet);

本体のソースファイルの編集

既存のパース処理に加えて、新たなパース処理を追加します。

イベントハンドラの初期化

begin()の呼びだし時にもイベントハンドラが初期化されるようにします。

//// AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
_onAppTagAdcPacket = nullptr;

パース処理の追加

対象のパケットを受信したときに解釈を行うようにします。

//// Start: AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)
if (AppTagAdcPacketParser.isValid(barePacket) and _onAppTagAdcPacket) {
    ParsedAppTagAdcPacket parsedAppTagAdcPacket;
    if (AppTagAdcPacketParser.parse(barePacket, &parsedAppTagAdcPacket)) {
        _onAppTagAdcPacket(parsedAppTagAdcPacket);
    }
}
//// End: AppTagAdcPacketParser for App_Tag (ADC)

変更の適用

スケッチをビルドしたときに、ライブラリも再ビルドされます。