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スタートガイド
- 1: TWELITE DIP
- 1.1: まずは使ってみる
- 1.2: インタラクティブモードによるカスタマイズ
- 1.3: UART機能によるPCとの連携
- 1.4: バイナリデータの伝送
- 1.5: リモコンアプリによる高度なデジタル伝送
- 2: TWELITE SPOT
- 2.1: まずは使ってみる
- 2.2: ESP32 を使ったファームウェア開発の基礎
- 2.3: TWELITE 子機からのデータ受信
- 2.4: 関連情報
- 3: TWELITE STAGE SDK / act
- 3.1: 開発環境
- 3.2: SDKのインストール
- 3.3: アクトのビルド
- 3.4: 新しいプロジェクトの作成
- 3.5: actのためのVSCodeのインストール
- 3.6: ビルド定義 Makefile
- 3.7: 他のプラットフォーム
1 - TWELITE DIP
すぐに使用できる無線モジュール
超簡単!標準アプリ
工場出荷時の TWELITE DIP には 超簡単!標準アプリ(App_Twelite)をインストールしています。
超簡単!標準アプリは、デジタル・アナログ信号の伝送を行うファームウェアです。
デジタル | アナログ | UART | I2C |
---|---|---|---|
一方の | 一方の | 一方の | 子機の |
シンプルな無線通信
TWELITE は、起動直後から通信できます。Bluetooth のようなペアリングを行いません。
周波数チャネルを合わせた端末同士で同報通信を行います。したがって、同一の周波数チャネルでは、同時に複数の端末が送信を行うことはできません。自分宛でないパケットは無視します。トランシーバやインカムの動作をイメージすると分かりやすいかもしれません。
TWELITE は受信を伴わずとも送信できるため、省電力性能に優れた端末を実現できます。
無線通信の規格は?
TWELITE は 2.4GHz 帯の電波を使用する無線モジュールですが、Bluetooth (IEEE 802.15.1) とは異なる規格の IEEE 802.15.4 へ準拠しています。
IEEE 802.15.4 へ準拠した他の製品には Zigbee モジュールがありますが、TWELITE は Zigbee モジュールではありません。Zigbee モジュールは IEEE 802.15.4 の上層に Zigbee プロトコルスタックを採用していますが、TWELITE はシンプルな独自のプロトコルスタックを代わりに実装しています。
データ量の多い通信には適していないものの、単純な信号伝送といった用途には最適です。
ピンの機能
超簡単!標準アプリで使用するピンの機能には、いくつかの種類があります。
- 電源入力(3.3V)
VCC
/GND
2.3-3.6V
- デジタル・アナログ入出力
DIx
→DOx
へ反映AIx
→PWMx
へ反映
- シリアル通信
TX
/RX
UARTSCL
/SDA
I2C
- 設定入力
Mx
動作モード切り替えBPS
代替ボーレート選択
RST
リセット入力
x
: 任意の番号
1.1 - まずは使ってみる
DIx
/AIx
ポートへ入力した信号をもう片方の DOx
/PWMx
ポートへ反映させてみましょう。使用する製品
TWELITE DIP |
TWELITE 親機/子機/中継機 |
超簡単!標準アプリ |
2個(中継機使用時は3個) |
片方向の信号伝送
親機へ入力された信号を、子機から出力できます。
親機はすべての子機へデータを送信します
DIx
で全ての子機の DOx
を同時に制御できます。デジタル信号
親機へ接続したスイッチを押すと子機へ接続した LED が点灯し、親機へ接続したスイッチを離すと子機へ接続した LED が消灯します。
上記の例では DI1
と DO1
だけを使っていますが、ポートは合計4つあります。他のポートも同様に使用できます。
片側の TWELITE DIP は、M1
ピンを GND
へ接続してください。親機となります。
また、未使用の AIx
ポートは VCC
へ接続してください。無効化されます(インタラクティブモードによる設定変更で省略可)。
出力できる電流の大きさには制限があります
電源電圧 | 駆動能力 |
---|---|
2.7V-3.6V | 4mA |
2.2V-2.7V | 3mA |
2.0V-2.2V | 2.5mA |
駆動能力を超える場合は、MOSFET やトランジスタを使用してください。
アナログ信号
親機へ接続したボリュームを回すと、子機へ接続した LED の明るさが変化します。
上記の例では AI1
と PWM1
だけを使っていますが、ポートは合計4つあります。他のポートも同様に使用できます。
入出力の電圧について
アナログ入力は2.0V以下で動作します。
上記の例では、電源電圧をボリューム(10KΩ)と抵抗(10KΩ)で半分に分圧しています。初期状態の超簡単!標準アプリでは、ボリューム用に調節した出力を PWMx
へ適用します。このときのデューティ比を\(duty\)とするとき、入力電圧\(V_{input}\)と電源電圧\(V_{cc}\)を使って表す計算式を次に示します。
\(duty=min(230\frac{V_{input}}{V_{cc}}-5, 100)\)
なお、インタラクティブモードを使ってオプションビット 0x00000040
を設定すると、1.8V 以下の入力に対してフルスケールで出力できます(2.0V以上で未使用扱い)。
\(duty=100\frac{min(V_{input}, 1.8)}{1.8}\)
PWM2
および PWM3
へ何らかの配線をしていると、ファームウェアを書き換えできない場合があります。
これらのピンは、ファームウェア書き換え時に使用するための機能を備えているからです(詳細)。
双方向の信号伝送
信号伝送は、親機から子機だけではなく、子機から親機へも同様に行えます。
親機はすべての子機からデータを受信します
複数の子機を用意すると、排他的な子機の DIx
で親機の DOx
を平行して制御できます。
(例:ある子機の DI1
を親機の DO1
へ、別の子機の DI2
を親機の DO2
へ反映させる)
デジタル信号の伝送例を双方向に拡張してみましょう。なおアナログ信号の伝送例も同様に拡張できます。
親機へ接続したスイッチを押すと子機へ接続した LED が点灯し、親機へ接続したスイッチを離すと子機へ接続した LED が消灯します。 同時に子機へ接続したスイッチを押すと親機へ接続した LED が点灯し、子機へ接続したスイッチを離すと親機へ接続した LED が消灯します。
上記の例では DI1
と DO1
だけを使っていますが、ポートは合計4つあります。他のポートも同様に使用できます。
中継機の設置
中継機として設定したものを親機と子機の間へ設置することで、通信距離を延長できます。最大3段まで中継できます。
M2
を GND
へ接続します。
1.2 - インタラクティブモードによるカスタマイズ
インタラクティブモードとは
インタラクティブモードは、TWELITE シリーズを PC へ接続して設定を行う際に利用するモードです。TWELITE シリーズを USBアダプター TWELITE R シリーズを介して PC へ接続することで、UART 通信により各種パラメータの変更を行うことができます。
TWELITE STAGE アプリの使用を推奨します。TWELITE STAGE アプリは、ファームウェアの設定や書き換えに加え、親機との送受信を評価するための機能を備えたツールです。TWELITE STAGE アプリは TWELITE STAGE SDK に含まれています。
TWELITE STAGE アプリの詳細については、TWELITE APPS マニュアルをご覧ください。
カスタム例
目的別に TWELITE DIP のカスタム例を示します。
興味のあるものを選んでお試しください。
- ネットワークのグループ分け
- 親機と子機のペアを2つ用意し、それぞれを独立して動作させます
- 低レイテンシモードの使用
- 親機と子機のペアを用意し、
DIx
→DOx
の伝送における遅延を短縮します
- 親機と子機のペアを用意し、
- ボタン押下時のみ送信させる
- 親機と子機のペアを用意し、親機のボタンを押したときだけ送信させるようにします
ネットワークのグループ分け
初期状態では、すべての TWELITE DIP が相互に通信できる状態にあります。親機と子機のペアを2つ用意した場合、親機の入力は双方の子機へ反映されるほか、子機の入力も双方の親機へ反映されます。
インタラクティブモードによってアプリケーションIDと周波数チャネルを変更し、2つのペアを同時に独立して使用できるようにしましょう。
使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
超簡単!標準アプリ | - |
4個 | 1個 |
カスタムの内容
インタラクティブモードの値を次のように設定し、2つのペアをグループAとBに分けます。
- グループA
- 親機/子機
- アプリケーションID:
0xAAAAAAAA
- 周波数チャネル:
11
- アプリケーションID:
- 親機/子機
- グループB
- 親機/子機
- アプリケーションID:
0xBBBBBBBB
- 周波数チャネル:
26
- アプリケーションID:
- 親機/子機
カスタム方法
- TWELITE DIP を TWELITE R2 へ差し込み、USB-C ケーブルを使って PC と接続する
- TWELITE STAGE アプリを立ち上げ、シリアルポート選択から対象の TWELITE R2 を選択する
- メインメニューの「3: インタラクティブモード」を選択する
- 大文字の
R
を押下して、設定を初期状態へ戻す a
を押下したのち、AAAAAAAA
/BBBBBBBB
を入力してEnter
を押下するc
を押下したのち、11
/26
を入力してEnter
を押下する- 大文字の
S
を押下して、設定を適用する(TWELITE はリセットされる) ESC
を何度か押してメインメニューへ戻り、TWELITE R2 の USB-C ケーブルを抜く- TWELITE DIP を取り外し、ブレッドボード等へ差し込み、回路へ接続する
動作確認
グループAとグループBの双方を「まずは使ってみる」の片方向デジタル信号の例のように配線し、親機へスイッチを、子機へ LED を接続します。
- グループAの親機のスイッチを押すと、グループAの子機の LED だけが光ります
- グループBの親機のスイッチを押すと、グループBの子機の LED だけが光ります
グループBの子機のアプリケーションIDを0xAAAAAAAA
へ、周波数チャネルを11
へ変更します。
- グループAの親機のスイッチを押すと、2台の子機の LED がどちらも光ります
低レイテンシモードの使用
初期状態では、送信元のDIx
が送信先のDOx
へ反映されるまでに30-70ms程度の遅延が生じます。チャタリングや無線パケットの干渉を避けるための処理が存在するからです。
低レイテンシモードは、これらの処理を簡略化することで遅延を3-10ms程度に短縮します。
インタラクティブモードによって送信側の端末の低レイテンシモードを有効化してみましょう。
低レイテンシモードは、次のような場合に有用です。
- ハードウェアにチャタリングの懸念がない場合
- 入力状態をすばやく変化させる場合
使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
超簡単!標準アプリ | - |
2個 | 1個 |
カスタムの内容
インタラクティブモードの値を次のように設定し、送信側(親機)の低レイテンシモードを有効化します。
- 親機
- 子機:変更なし
カスタム方法
- TWELITE DIP を TWELITE R2 へ差し込み、USB-C ケーブルを使って PC と接続する
- TWELITE STAGE アプリを立ち上げ、シリアルポート選択から対象の TWELITE R2 を選択する
- メインメニューの「3: インタラクティブモード」を選択する
- 大文字の
R
を押下して、設定を初期状態へ戻す o
を押下したのち、00000001
を入力してEnter
を押下する- 大文字の
S
を押下して設定を適用する(TWELITE はリセットされる) ESC
を何度か押してメインメニューへ戻り、TWELITE R2 の USB-C ケーブルを抜く- TWELITE DIP を取り外し、ブレッドボード等へ差し込み、回路へ接続する
動作確認
親機と子機を「まずは使ってみる」の片方向デジタル信号の例のように配線し、親機へスイッチを、子機へ LED を接続します。
- 親機のスイッチを押すと、子機の LED が光ります
- 動作は初期状態と変わりませんが、少しレスポンスが向上したことを感じ取れるかもしれません
- 親機の
DO1
と子機のDI1
へオシロスコープを接続して比較すると、その効果を確認できます
ボタン押下時のみ送信させる
初期状態では、入力状態が変化したときに送信を行うほか、1秒おきに送信します。
このとき、例えば送信側のボタンを押したまま電源を断つと、受信側の出力は残り続けてしまいます。
ボタン押下時のみ送信 設定では、送信側のDIx
がLowのときに繰り返し送信を行い、Highへ遷移しても1秒間は送信を続けます。受信側のDOx
をLowとしてから受信が途絶えた場合はHighへ戻します。
インタラクティブモードによってボタン押下時のみ送信するように変更してみましょう。
DIx
がLowのときは短い間隔で送信を続けるため、同一の周波数チャネルに送信機を増やすことは推奨しません。このオプションは1:1の通信を行う際に適用してください。使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
超簡単!標準アプリ | - |
2個 | 1個 |
カスタムの内容
インタラクティブモードの値を次のように設定し、送信側(親機)と受信側(子機)のデジタル入出力の振る舞いを変更します。
- 親機/子機
- オプションビット:
0x00000100
- オプションビット:
カスタム方法
- TWELITE DIP を TWELITE R2 へ差し込み、USB-C ケーブルを使って PC と接続する
- TWELITE STAGE アプリを立ち上げ、シリアルポート選択から対象の TWELITE R2 を選択する
- メインメニューの「3: インタラクティブモード」を選択する
- 大文字の
R
を押下して、設定を初期状態へ戻す o
を押下したのち、00000100
を入力してEnter
を押下する- 大文字の
S
を押下して設定を適用する(TWELITE はリセットされる) ESC
を何度か押してメインメニューへ戻り、TWELITE R2 の USB-C ケーブルを抜く- TWELITE DIP を取り外し、ブレッドボード等へ差し込み、回路へ接続する
動作確認
親機と子機を「まずは使ってみる」の片方向デジタル信号の例のように配線し、親機へスイッチを、子機へ LED を接続します。
- 親機のスイッチを押すと、子機の LED が光ります
- 親機のスイッチを押したまま電源供給を断つと、子機のLEDは消えます(初期状態は消えない)
1.3 - UART機能によるPCとの連携
使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
超簡単!標準アプリ | - |
2個 | 1個 |
なお、TWELITE DIP と TWELITE R2 のペアは MONOSTICK 単体と同等です。次の組み合わせでも構いません。
TWELITE DIP | MONOSTICK |
TWELITE 子機 | TWELITE 親機 |
超簡単!標準アプリ | 親機・中継機アプリ |
1個 | 1個 |
TWELITE STAGE アプリの導入
TWELITE STAGE アプリは、ファームウェアの設定や書き換えに加え、親機との送受信を評価するための機能を備えたツールです。
TWELITE STAGE アプリは、TWELITE STAGE SDK に含まれています。
TWELITE STAGE アプリによる受信
超簡単!標準アプリの子機が送信するデータは、DIx
/AIx
ポートの入力状態や電源電圧、送信元の論理デバイスIDといった情報を含んでいます。
シリアル文字列の表示
親機が子機から受信したデータは、親機がシリアル通信(UART)で出力する文字列を解釈することで取得できます。まずはこの文字列を表示してみましょう。
TWELITE STAGE アプリを立ち上げ、シリアルポート選択で親機を選択します。メインメニューの「1: ビューア」>「1: ターミナル」を開いてください。
子機のデータを受信すると、次のようなメッセージを表示します。
:78811501C98201015A000391000C2E00810301FFFFFFFFFB
親機が出力するこのような文字列を解釈することで、子機が送信したデータを得ることができます。
上記の文字列は次のデータを表しています
# | データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|---|
: | char | ヘッダ | : | |
78 | 0 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x78 |
81 | 1 | uint8 | コマンド番号 | 0x81 |
15 | 2 | uint8 | パケット識別子 | 0x15 |
01 | 3 | uint8 | プロトコルバージョン | 0x01 |
C9 | 4 | uint8 | LQI | 201/255 |
8201015A | 5 | uint32 | 送信元のシリアルID | 0x201015A |
00 | 9 | uint8 | 送信先の論理デバイスID | 0x00 |
0391 | 10 | uint16 | タイムスタンプ | 約14.27 秒 |
00 | 12 | uint8 | 中継回数 | 0 |
0C2E | 13 | uint16 | 電源電圧 | 3118 mV |
00 | 15 | int8 | - | |
81 | 16 | uint8 | デジタル信号 | DI1 L DI2 H DI3 H DI4 H (定期送信) |
03 | 17 | uint8 | デジタル信号マスク | DI1 DI2 |
01 | 18 | uint8 | AI1 の変換値 | 16 mV |
FF | 19 | uint8 | AI2 の変換値 | 未使用 |
FF | 20 | uint8 | AI3 の変換値 | 未使用 |
FF | 21 | uint8 | AI4 の変換値 | 未使用 |
FF | 22 | uint8 | AIx の補正値 | AI1 0x03 |
FB | uint8 | チェックサム | 0xFB | |
char | フッタ | \r | ||
char | フッタ | \n |
なお、TWELITE の親機が出力する文字列は、基本的に次の形式へ従います。
ヘッダ | ペイロード | チェックサム | フッタ |
---|---|---|---|
: | 00 -FF の繰り返し | ペイロードのLRC8 | CRLF |
- すべて ASCII 文字※
- 先頭は
:
(0x3A
) - 末端は CRLF (
\r\n
/0x0D 0x0A
) - ビッグエンディアン
※ シリアル通信アプリのバイナリ書式を除く
標準アプリ ビューア
上記のような形式はコンピュータにやさしいものですが、人間が確認するにはこれを解釈する必要があります。TWELITE STAGE アプリには、超簡単!標準アプリの子機が送信したデータを表す文字列を解釈して表示する機能があります。後述の Python ライブラリはこの解釈を行います。
メインメニューの「1: ビューア」へ戻り、「2: 標準アプリ ビューア」を開いてください。
タイムスタンプと論理デバイスID、シリアルIDとDIx
/AIx
の値を確認できます。
TWELITE STAGE アプリによる送信
これまでとは反対に、親機から子機へ無線パケットを送信し、子機の出力状態を変更することもできます。
コマンダー
メインメニューの「1: ビューア」へ戻り、「5: コマンダー」を開いてください。
DIx
およびAIx
の入力をシミュレートしたパケットを送信できます。
使い方
- 送信先と入力状態を選択
- 送信をクリック
コマンダーは、PCから親機へシリアル通信によって文字列を送信しています。すなわち、標準アプリ ビューアとは逆の仕組みです。
この文字列も:
で始まり CRLF で終わります。詳しい書式は超簡単!標準アプリ マニュアルをご覧ください。
Python スクリプト
TWELITE STAGE アプリの「標準アプリ ビューア」および「コマンダー」は、どちらもシリアル通信によって文字列をやりとりしているに過ぎません。シリアル通信を利用できる環境であれば、自作のアプリケーションと親機を連携させることができます。
DI1
の入力状態を表示したのち、DO1
の出力を制御してみましょう。Python スクリプトを応用すれば、受信したデータを加工して保存したり、自作のソフトウェアから出力ポートを操作したりといった仕組みを実現できます。
MWings ライブラリの導入
MWings ライブラリは、TWELITE と Python スクリプトの連携を簡単に実現するためのライブラリです。具体的には、子機から受信したデータを表す文字列の解釈と、子機へ送信するデータの構築を行います。
PyPI からインストールできます。
Python スクリプトによる受信
TWELITE DIP のDI1
へ接続したボタンが押された際にメッセージを表示する Python スクリプトを実装してみます。
サンプルスクリプトの実行
下記の内容のスクリプト dip_show_di1.py
を作成してください。
# -*- coding:utf-8 -*-
# TWELTIE DIP start guide: receiving in python
import mwings as mw
def main():
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
if packet.di_state[0]:
print("DI1 Pressed")
try:
twelite.daemon = True
twelite.start()
print("Started receiving")
while True:
twelite.join(0.5)
except KeyboardInterrupt:
print("Flushing...")
twelite.stop()
print("Completed")
if __name__ == "__main__":
main()
スクリプトを実行すると、子機のDI1
が Low になったときに DI1 Pressed
と出力します。
実行時に複数の TWELITE R シリーズや MONOSTICK シリーズが接続されているときは、親機へ接続されたシリアルポートを選択してください。
poetry run python dip_show_di1.py
Multiple ports detected.
[1] /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx TWE-Lite-R (Genuine)
[2] /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx TWE-Lite-R (Genuine)
Select [1-2]: 2
Selected: /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx
Started receiving
DI1 Pressed
DI1 Pressed
^CFlushing...
Completed
上記は macOS における例です。WindowsではCOMポート名を表示します。
サンプルスクリプトの解説
MWings ライブラリのインポート
import mwings as mw
短縮名 mw
を使って呼び出せるようにしています。pandas as pd
や numpy as np
と同様です。
オブジェクトの作成
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
親機をとやりとりするためのインタフェースとなる Twelite
オブジェクトを作成しています。
引数にはシリアルポートを指定しますが、ここでは mw.utils.ask_users_for_port()
ユーティリティを呼び出し、動的に決定しています。この関数はシリアルポートが存在しないときにエラーメッセージを出力し、1つだけ存在する場合はそのポートを、複数存在する場合はユーザが指定したポートを返します。
受信イベントハンドラの登録
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
if packet.di_state[0]:
print("DI1 Pressed")
超簡単!標準アプリの子機からのパケットを受信したときに呼び出されるイベントハンドラを登録しています。
イベントハンドラの登録は、Python のデコレータ(?)を使って行います。今回は超簡単!標準アプリ(App_Twelite)のデータを対象とするため、@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
を記述しています。この記述の直後に定義された関数がハンドラとなります。関数名は問いませんが、Twelite
オブジェクトの初期化後に定義する必要があります。
今回は子機のDI1
がLowになったことを検知するため、受信ハンドラが受け取る変数 packet
(mwings.parsers.app_twelite.ParsedPacket
)のうち、DIx
の状態を示す List-like なオブジェクト di_state
(デジタルインタフェースの状態)0番目の真偽値を判定しています。di_state
の各値は、True
のときに Low を示します。
その他のデータの取り扱い
packet
変数は、入力状態に加えて送信元の情報や受信側の情報も格納しています。例えばto_json()
を使って次のように改変すると、すべてのデータをJSON形式で出力できます。
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
print(packet.to_json(verbose=True, spread=False))
なお verbose
はシステム情報の省略を、spread
はList-likeなオブジェクトの展開を有効化します。
pandas を導入している場合は、to_df()
を使ってデータフレームを得ることもできます。
@twelite.on(mw.common.PacketType.APP_TWELITE)
def on_app_twelite(packet):
print(packet.to_df(verbose=False).to_string())
データの待機
twelite.daemon = True
twelite.start()
print("Started receiving")
while True:
twelite.join(0.5)
ここでは、別のスレッドで親機からのデータの待機を行っています。
Twelite
のオブジェクトは threading.Thread
のサブクラスであり、ここではその機能によってデーモンスレッドを立ち上げ、スクリプトを終了するまでメインスレッドをブロックしています。
なぜ while
ループおよび join(0.5)
としているのか
終了処理
print("Flushing...")
twelite.stop()
print("Completed")
Ctrl-C が押された際には、twelite.stop()
を呼び出すことでサブスレッドを終了しています。
Python スクリプトによる送信
次は、反対に TWELITE DIP のDO1
へ接続された LED をPCから点滅させる Python スクリプトを実装してみます。
サンプルスクリプトの実行
下記の内容のスクリプト dip_blink_led.py
を作成してください。
# -*- coding:utf-8 -*-
# TWELITE DIP start guide: blinking from python
from time import sleep
import mwings as mw
def main():
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
initial = {
"destination_logical_id": 0x78,
"di_to_change": [True, False, False, False],
"di_state": [False, False, False, False],
}
command = mw.serializers.app_twelite.Command(**initial)
while True:
command.di_state[0] = not command.di_state[0]
twelite.send(command)
print(f"Flip DO1: {command.di_state[0]}")
sleep(1)
if __name__ == "__main__":
try:
main()
except KeyboardInterrupt:
print("...Aborting")
スクリプトを実行すると、子機のDO1
が一秒おきに点滅します。
実行時に複数の TWELITE R シリーズや MONOSTICK シリーズが接続されているときは、親機へ接続されたシリアルポートを選択してください。
poetry run python dip_blink_led.py
Multiple ports detected.
[1] /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx TWE-Lite-R (Genuine)
[2] /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx TWE-Lite-R (Genuine)
Select [1-2]: 2
Selected: /dev/cu.usbserial-R2xxxxxx
Flip DO1: True
Flip DO1: False
Flip DO1: True
Flip DO1: False
Flip DO1: True
^C...Aborting
サンプルスクリプトの解説
MWings ライブラリのインポート
import mwings as mw
短縮名 mw
を使って呼び出せるようにしています。pandas as pd
や numpy as np
と同様です。
オブジェクトの作成
twelite = mw.Twelite(mw.utils.ask_user_for_port())
親機をとやりとりするためのインタフェースとなる Twelite
オブジェクトを作成しています。
引数にはシリアルポートを指定しますが、ここでは mw.utils.ask_users_for_port()
ユーティリティを呼び出し、動的に決定しています。この関数はシリアルポートが存在しないときにエラーメッセージを出力し、1つだけ存在する場合はそのポートを、複数存在する場合はユーザが指定したポートを返します。
親機へ送信するコマンドの作成
initial = {
"destination_logical_id": 0x78,
"di_to_change": [True, False, False, False],
"di_state": [False, False, False, False],
}
command = mw.serializers.app_twelite.Command(**initial)
超簡単!標準アプリの子機へ送信するパケットを生成するためのコマンドを表すデータ command
(mwings.serializers.app_twelite.Command
)を初期化しています。
辞書オブジェクト initial
は、コマンドの初期状態を表しています。ここでは、送信先の論理デバイスIDを 0x78
(全子機)としたうえで、DI1
を変更対象、High 状態としています。
データの送信
while True:
command.di_state[0] = not command.di_state[0]
twelite.send(command)
print(f"Flip DO1: {command.di_state[0]}")
sleep(1)
ここでは、コマンドデータの文字列への変換および親機への送信を1秒おきに行っています。
コマンドデータのうち、DOx
の状態を示す List-like なオブジェクト di_state
(デジタルインタフェースの状態)0番目の真偽値を反転させることで、点滅を実現しています。
1.4 - バイナリデータの伝送
バイナリデータの伝送に特化した製品として、TWELITE UART もございます。
TWELITE UART を使う場合は、ファームウェアの書き換え を飛ばして 通信モードの一覧 以降をお読みください。
使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
シリアル通信アプリ | - |
2個 | 2個 |
なお、TWELITE DIP と TWELITE R2 のペアは MONOSTICK 単体と同等です。次の組み合わせでも構いません。
MONOSTICK |
TWELITE 親機/子機 |
シリアル通信アプリ |
2個 |
シリアル通信アプリ
TWELITE のファームウェアを、シリアル通信の無線化に特化したシリアル通信アプリ(App_Uart)へ書き換えます。超簡単!標準アプリはシリアル通信によるバイナリデータの伝送機能を備えているものの、その機能は非常に限られているからです。
ファームウェアの書き換え
親機と子機、すべての端末を書き換えます。
- TWELITE STAGE SDK を導入し、TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「2: アプリ書換」を選択する
- 「1: BINから選択」を選び、
App_Uart...
を選択する - 書き込みが完了するまで、数回
Enter
を押す
初期設定では、書き込みが成功すると次のようなインタラクティブモードの画面へ移行します。
--- CONFIG/TWE UART APP V1-04-5/SID=0x82018ca0/LID=0x78 -- ---
a: set Application ID (0x67720103)
i: set Device ID (120=0x78)
c: set Channels (18)
x: set RF Conf (3)
r: set Role (0x0)
l: set Layer (0x1)
b: set UART baud (38400)
B: set UART option (8N1)
m: set UART mode (E)
k: set Tx Trigger (sep=0x0d0a, min_bytes=0 dly=0[ms])
h: set header format [;U;%t;%i;0x%A;%q;%s;<*>;%X;\n]
C: set crypt mode (0)
o: set option bits (0x00000100)
---
S: save Configuration
R: reset to Defaults
通信モードの一覧
シリアル通信アプリには5つの通信モードがあり、用途に応じて使い分けることができます。
- 書式モード(アスキー):送受信双方に書式を適用するモード
- 書式モード(バイナリ):書式モード(アスキー)のバイナリ表記版
- チャットモード:テキストチャットを行うモード
- 透過モード:書式を利用せず純粋にUARTを無線化するモード
- ヘッダ付き透過モード:受信側の出力にのみ書式を適用するモード
初期状態はヘッダ付き透過モードです。
ここでは、次の4つのモードを使った通信テストの手順を紹介します。気になるものを選んでお試しください。
- ヘッダ付き透過モード
- 送信側の書式はありません。
- 受信側の書式から、送信元の論理デバイスIDや受信時の電波通信品質といった情報を得ることができます。
- バランスのよいモードです。
- 透過モード
- 送受信双方に書式はありません。
- 送信側の入力と受信側の出力は同等です。
- 最も簡単ですが、機能は限られています。
- 書式モード(アスキー)
- 送受信双方へ書式を適用します。
- 外部デバイスの対応が必要ですが、送信先の指定や送信元の識別ができます。
- バイナリデータは16進数の文字列で表現します。
- 書式モード(バイナリ)
- 送受信双方へ書式を適用します。
- 外部デバイスの対応が必要ですが、送信先の指定や送信元の識別ができます。
- バイナリデータはそのまま表現します。
今回は同一のPCへ2台の TWELITE を接続し、データをループバックさせてみましょう。通常は外部デバイス同士を無線経由で接続します。
ヘッダ付き透過モード
ヘッダ付き透過モードを使用して、ASCIIデータHello
という文字列を双方から送信してみましょう。
設定方法
シリアル通信アプリの既定のモードはヘッダ付き透過モードです。よって初期設定のまま使用します。
通信テスト
1. TWELITE STAGE アプリを2つ立ち上げる
TWELITE STAGE アプリ(TWELITE_Stage.exe/.command/.run
)を2つ立ち上げてください。
TWELITE_Stage_1
とTWELITE_Stage_2
)。2. ターミナルを表示する
双方の TWELITE STAGE アプリにおいてシリアルポートを選択したのち、「1: ビューア」>「1: ターミナル」を選択します。
3. 片側から送信
片方の画面を選択し、Hello
と入力してEnter
を押します。もう片方の画面へ反映されます。
4. 反対側から送信
もう片方の画面を選択し、Hello
と入力してEnter
を押します。元の画面へ反映されます。
次の系列は、以下のように解釈できます。
;U;00052;120;0x82036841;255;000;Hello;79;
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
U | char | 固定値 | U |
00052 | uint16 | 出力時のタイムスタンプ | 52 秒 |
120 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 120 IDなし子機 |
0x82036841 | uint32 | 送信元の拡張アドレス | 82036841 |
255 | uint8 | LQI(電波通信品質) | 255/255 |
000 | uint8 | 送信元の続き番号 | 0 |
Hello | [uint8] | 入力データ | Hello |
79 | uint8 | XORチェックサム | 0x79 |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
透過モード
透過モードを使用して、ASCIIデータHello
という文字列を双方から送信してみましょう。
設定方法
m
:通信モードをD
とします。
通信テスト
1. TWELITE STAGE アプリを2つ立ち上げる
TWELITE STAGE アプリ(TWELITE_Stage.exe/.command/.run
)を2つ立ち上げてください。
TWELITE_Stage_1
とTWELITE_Stage_2
)。2. ターミナルを表示する
双方の TWELITE STAGE アプリにおいてシリアルポートを選択したのち、「1: ビューア」>「1: ターミナル」を選択します。
3. 片側から送信
片方の画面を選択し、Hello
と入力してEnter
を押します。もう片方の画面へ反映されます。
4. 反対側から送信
もう片方の画面を選択し、Hello
と入力してEnter
を押します。元の画面へ反映されます。
入出力のどちらにも書式がないため、入力したデータをそのまま出力します。
Hello
書式モード(アスキー)
書式モード(アスキー)を使用して、バイナリデータ 0x5A 0xAB 0x90 0x00
を双方から送信してみましょう。
設定方法
m
:通信モードをA
とします。
片方の端末のi
:論理デバイスIDを0
(親機)としたうえで、もう片方の端末は1
(子機、ID1
)とします。
通信テスト(簡易形式)
まずは、簡易形式のシンプルな書式を試してみましょう。
1. TWELITE STAGE アプリを2つ立ち上げる
TWELITE STAGE アプリ(TWELITE_Stage.exe/.command/.run
)を2つ立ち上げてください。
TWELITE_Stage_1
とTWELITE_Stage_2
)。2. ターミナルを表示する
双方の TWELITE STAGE アプリにおいてシリアルポートを選択したのち、「1: ビューア」>「1: ターミナル」を選択します。
3. 親機側から送信
まず、以下の系列をコピーします。
:01235AAB900047
上記の系列は、次の内容を指します。
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
01 | uint8 | 送信先の論理デバイスID | 0x01 子機 |
23 | uint8 | 任意のコマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信するデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
47 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0x47 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
次に、親機側の画面を選択します。
最後に、Alt+V
/⌘+V
を押してペーストし、Enter
を押します。子機側の画面へ反映されます。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
:00235AAB900048
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
00 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x00 親機 |
23 | uint8 | コマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
48 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0x48 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
:DBA1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。4. 子機側から送信
まず、以下の系列をコピーします。
:00235AAB900048
上記の系列は、次の内容を指します。
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
00 | uint8 | 送信先の論理デバイスID | 0x00 親機 |
23 | uint8 | 任意のコマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信するデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
48 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0x48 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
次に、子機側の画面を選択します。
最後に、Alt+V
/⌘+V
を押してペーストし、Enter
を押します。親機側の画面へ反映されます。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
:01235AAB900047
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
01 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x01 子機 |
23 | uint8 | コマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
47 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0x47 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
:DBA1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。通信テスト(拡張形式)
次に、拡張形式の高度な書式を試してみましょう。
1. TWELITE STAGE アプリを2つ立ち上げる
TWELITE STAGE アプリ(TWELITE_Stage.exe/.command/.run
)を2つ立ち上げてください。
TWELITE_Stage_1
とTWELITE_Stage_2
)。2. ターミナルを表示する
双方の TWELITE STAGE アプリにおいてシリアルポートを選択したのち、「1: ビューア」>「1: ターミナル」を選択します。
3. 親機側から送信
まず、以下の系列をコピーします。
:01A0CDFF5AAB9000FE
次に、親機側の画面を選択します。
最後に、Alt+V
/⌘+V
を押してペーストし、Enter
を押します。子機側の画面へ反映されます。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
:00A0CD82036841FFFFFFFFFF00045AAB9000D1
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
00 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x00 親機 |
A0 | uint8 | コマンド番号(固定値) | 0xA0 |
CD | uint8 | 応答ID | 0xCD |
82036841 | uint32 | 送信元の拡張アドレス | 0x82036841 |
FFFFFFFF | uint32 | 送信先の拡張アドレス | 0xFFFFFFFF なし |
FF | uint8 | LQI | 255/255 |
0004 | uint16 | 続くデータの長さ | 4 バイト |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
D1 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0xD1 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
:DBA1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。4. 子機側から送信
まず、以下の系列をコピーします。
:00A0CDFF5AAB9000FF
次に、子機側の画面を選択します。
最後に、Alt+V
/⌘+V
を押してペーストし、Enter
を押します。親機側の画面へ反映されます。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
:01A0CD820163B2FFFFFFFFFF00045AAB900066
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
: | char | ヘッダ(固定値) | : |
01 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x01 子機 |
A0 | uint8 | コマンド番号(固定値) | 0xA0 |
CD | uint8 | 応答ID | 0xCD |
820163B2 | uint32 | 送信元の拡張アドレス | 0x820163B2 |
FFFFFFFF | uint32 | 送信先の拡張アドレス | 0xFFFFFFFF なし |
FF | uint8 | LQI | 255/255 |
0004 | uint16 | 続くデータの長さ | 4 バイト |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
66 | uint8 | チェックサム(LRC) | 0x66 |
char | フッタ(改行文字) | CR (0x0D /\r ) | |
char | フッタ(改行文字) | LF (0x0A /\n ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
:DBA1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。書式モード(バイナリ)
書式モード(バイナリ)を使用して、バイナリデータ 0x5A 0xAB 0x90 0x00
を双方から送信してみましょう。
以降、バイナリデータ表現の 0x
を省略します。
例えば、0x5A 0xAB 0x90 0x00
は 5A AB 90 00
と表します。
設定方法
m
:通信モードをB
とします。
片方の端末のi
:論理デバイスIDを0
(親機)としたうえで、もう片方の端末は1
(子機、ID1
)とします。
バイナリへ対応した環境を用意
TWELITE STAGE アプリのターミナル機能や TeraTerm はバイナリデータの扱いに対応していないため、バイナリ形式に対応したターミナルソフトを導入する必要があります。
ここでは、一例としてCoolTermを使用します。
通信テスト(簡易形式)
まずは、簡易形式のシンプルな書式を試してみましょう。
1. CoolTerm の画面を2つ開く
CoolTerm の画面を2つ開き、それぞれのデバイスへ接続します。
設定について
Options
> Terminal
> Terminal Mode
を Raw Mode
としたうえで、Options
> Transmit
> Send String Options
> Terminate 'Send String' Data
のチェックを外してください。
設定の詳細については、STAGEアプリを使わずにUART通信する のページをご覧ください。
受信したデータを16進数で表示するために、View
> View Hex
を選択しておきます。Connect
を押して接続します。
2. 親機側から送信
親機側の画面を選択し、Connection
> Send String...
を選択して送信画面を開き、ラジオボタンのHex
を選んでおきます。
次の内容を入力し、Send
を押して親機へ送信します。
A5 5A 80 06 01 23 5A AB 90 00 43 04
上記の系列は、次の内容を指します。
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8006 | uint16 | データ長 | 6 バイト |
01 | uint8 | 送信先の論理デバイスID | 0x01 子機 |
23 | uint8 | 任意のコマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信するデータ | 5A AB 90 00 |
43 | uint8 | チェックサム(XOR) | 0x43 |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
A5 5A 80 06 00 23 5A AB 90 00 42 04
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8006 | uint16 | データ長 | 6 バイト |
00 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x00 親機 |
23 | uint8 | コマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 5A AB 90 00 |
42 | uint8 | チェックサム(XOR) | 0x42 |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
A5 5A 80 04 DBA1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。3. 子機側から送信
親機と同様に子機側の画面を選択し、Connection
> Send String...
を選択して送信画面を開き、ラジオボタンのHex
を選んでおきます。
次の内容を入力し、Send
を押して親機へ送信します。
A5 5A 80 06 00 23 5A AB 90 00 42 04
上記の系列は、次の内容を指します。
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8006 | uint16 | データ長 | 6 バイト |
00 | uint8 | 送信先の論理デバイスID | 0x00 親機 |
23 | uint8 | 任意のコマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信するデータ | 5A AB 90 00 |
42 | uint8 | チェックサム(XOR) | 0x42 |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
A5 5A 80 06 01 23 5A AB 90 00 43 04
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8006 | uint16 | データ長 | 6 バイト |
01 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x01 子機 |
23 | uint8 | コマンド番号 | 0x23 |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 5A AB 90 00 |
43 | uint8 | チェックサム(XOR) | 0x43 |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
A5 5A 80 04 DB A1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。通信テスト(拡張形式)
次に、拡張形式の高度な書式を試してみましょう。
1. CoolTerm の画面を2つ開く
CoolTerm の画面を2つ開き、それぞれのデバイスへ接続します。
設定について
Options
> Terminal
> Terminal Mode
を Raw Mode
としたうえで、Options
> Transmit
> Send String Options
> Terminate 'Send String' Data
のチェックを外してください。
設定の詳細については、STAGEアプリを使わずにUART通信する のページをご覧ください。
受信したデータを16進数で表示するために、View
> View Hex
を選択しておきます。Connect
を押して接続します。
2. 親機側から送信
親機側の画面を選択し、Connection
> Send String...
を選択して送信画面を開き、ラジオボタンのHex
を選んでおきます。
次の内容を入力し、Send
を押して子機へ送信します。
A5 5A 80 08 01 A0 CD FF 5A AB 90 00 F2 04
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
A5 5A 80 12 00 A0 CD 81 0E 0E 23 FF FF FF FF BA 00 04 5A AB 90 00 10 04
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8012 | uint16 | データ長 | 18 バイト |
00 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x00 親機 |
A0 | uint8 | コマンド番号(固定値) | 0xA0 |
CD | uint8 | 応答ID | 0xCD |
810E0E23 | uint32 | 送信元の拡張アドレス | 0x810E0E23 |
FFFFFFFF | uint32 | 送信先の拡張アドレス | 0xFFFFFFFF なし |
BA | uint8 | LQI | 186/255 |
0004 | uint16 | 続くデータの長さ | 4 バイト |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
10 | uint8 | チェックサム(XOR) | 0x10 |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
A5 5A 80 04 DB A1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。3. 子機側から送信
親機と同様に子機側の画面を選択し、Connection
> Send String...
を選択して送信画面を開き、ラジオボタンのHex
を選んでおきます。
次の内容を入力し、Send
を押して親機へ送信します。
A5 5A 80 08 00 A0 CD FF 5A AB 90 00 F3 04
上記における受信側の系列は、以下のように解釈できます。
A5 5A 80 12 01 A0 CD 81 0E 00 92 FF FF FF FF BA 00 04 5A AB 90 00 AE 04
データ | 内容 | 値 | |
---|---|---|---|
A5 | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0xA5 |
5A | uint8 | ヘッダ(固定値) | 0x5A |
8012 | uint16 | データ長 | 18 バイト |
01 | uint8 | 送信元の論理デバイスID | 0x01 子機 |
A0 | uint8 | コマンド番号(固定値) | 0xA0 |
CD | uint8 | 応答ID | 0xCD |
810E0092 | uint32 | 送信元の拡張アドレス | 0x820163B2 |
FFFFFFFF | uint32 | 送信先の拡張アドレス | 0xFFFFFFFF なし |
BA | uint8 | LQI | 186/255 |
0004 | uint16 | 続くデータの長さ | 4 バイト |
5AAB9000 | [uint8] | 送信されたデータ | 0x5A 0xAB 0x90 0x00 |
AE | uint8 | チェックサム(XOR) | 0xAE |
04 | uint8 | フッタ | EOT (0x04 ) |
書式の詳細はマニュアルをご覧ください。
A5 5A 80 04 DB A1...
の書式についても、マニュアルをご覧ください。1.5 - リモコンアプリによる高度なデジタル伝送
使用する製品
TWELITE DIP | TWELITE R2 |
TWELITE 親機/子機 | USB アダプター |
超簡単!標準アプリ | - |
2個 | 1個 |
リモコンアプリ
TWELITE のファームウェアを、デジタル信号の伝送に特化したリモコンアプリ(App_IO)へ書き換えます。超簡単!標準アプリはデジタル信号の伝送機能を備えているものの、入出力は4本に限られています。リモコンアプリは入出力を増やし、その組み合わせを切り替えることができます。
ファームウェアの書き換え
親機と子機、すべての端末を書き換えます。
- TWELITE STAGE SDK を導入し、TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「2: アプリ書換」を選択する
- 「1: BINから選択」を選び、
App_IO...
を選択する - 書き込みが完了するまで、数回
Enter
を押す
初期設定では、書き込みが成功すると次のようなインタラクティブモードの画面へ移行します。
--- CONFIG/APP_IO V1-03-2/SID=0x86300001/LID=0x00 ---
a: set Application ID (0x67720107)
i: set Device ID (--)
c: set Channels (16)
x: set Tx Power (3)
t: set mode4 sleep dur (1000ms)
y: set mode7 sleep dur (0s)
f: set mode3 fps (16)
d: set hold mask (000000000000)
D: set hold dur (1000ms)
o: set Option Bits (0x00000000)
b: set UART baud (38400)
p: set UART parity (N)
C: set crypt mode (0)
K: set crypt key []
---
S: save Configuration
R: reset to Defaults
まずは使ってみる
初期状態のリモコンアプリは、次のように子機が12本のデジタル入力ポートを、親機が12本のデジタル出力ポートを備えた片方向伝送の設定としています。まずは配線してみましょう。
名称 | 子機 | 親機 | 標準 | DIP # |
---|---|---|---|---|
I1 /O5 | I1 | O5 | DI1 | 15 |
I2 /O6 | I2 | O6 | DI2 | 16 |
I3 /O7 | I3 | O7 | DI3 | 17 |
I4 /O8 | I4 | O8 | DI4 | 18 |
I5 /O1 | I5 | O1 | DO1 | 5 |
I6 /O2 | I6 | O2 | DO2 | 8 |
I7 /O3 | I7 | O3 | DO3 | 9 |
I8 /O4 | I8 | O4 | DO4 | 12 |
I9 /O9 | I9 | O9 | SCL | 2 |
I10 /O10 | I10 | O10 | SDA | 19 |
I11 /O11 | I11 | O11 | PWM1 | 4 |
I12 /O12 | I12 | O12 | PWM4 | 11 |
親機の配線
初期状態のとき、親機は最大12本のデジタル信号を受信できます。
上図では DIP 9番 O3
ピンを出力として使用していますが、他のOx
ピンも同様に使用できます。また、超簡単!標準アプリにはないチャネル上書き機能を検証するため、DIP 23番 C1
ピンへタクトスイッチを接続しています。
子機の配線
初期状態のとき、子機は最大12本のデジタル信号を送信できます。
上図では DIP 17番 I3
ピンを入力として使用していますが、他のIx
ピンも同様に使用できます。また、こちらも同様にチャネル上書き機能を検証するため、DIP 23番 C1
ピンへタクトスイッチを接続しています。
動作確認
- 子機の
I3
へ接続したボタンを押したり離したりします- 親機の
O3
へ接続した LED が点灯したり消灯したりします。
- 親機の
- 子機の
C1
へ接続したボタンを押しながら、I3
のボタンを押したり離したりします- 子機の周波数チャネルを一時的に上書きするため、通信できません。
- 親機と子機の
C1
へ接続したボタンを押しながら、子機のI3
へ接続したボタンを押したり離したりします- 親機と子機の周波数チャネルを両方とも上書きするため、再び通信できるようになります。
C1
/C2
ピンは、次のように周波数チャネルを上書きします。
C2 | C1 | 周波数チャネル |
---|---|---|
未接続 | 未接続 | 既定値(初期値は16) |
未接続 | GND | 12 |
GND | 未接続 | 21 |
GND | GND | 25 |
ボタンと LED に余りがあれば、入出力を増やしてみましょう。
12系統あるため、例えば 7セグメント LED を使用できます。
高度な機能を使ってみる
次のようなシチュエーションを想定して、インタラクティブモードによる設定変更を行ってみましょう。
- 子機と親機の入出力の割り当てを変更し、双方とも6入力6出力とする
- 子機の入力を最短で親機へ反映する
- パケットが断絶した際に出力信号を復帰させる
- 子機を省電力リモコンとする
- 子機を長押しによる連続送信へ対応した省電力リモコンとする
子機と親機を6入力6出力とする
インタラクティブモードからオプションビットの値を変更することで、入出力の割り当てを下記のなかから選ぶことができます。
子機入力 | 子機出力 | 親機入力 | 親機出力 | 備考 |
---|---|---|---|---|
12 | 0 | 0 | 12 | 初期状態 |
8 | 4 | 4 | 8 | オプションビット0x00001000 |
6 | 6 | 6 | 6 | オプションビット0x00002000 |
0 | 12 | 12 | 0 | オプションビット0x00003000 |
ここでは、双方とも6入力6出力としてみましょう。
- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00002000
を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
これで次のように、子機と親機がともに6本の入出力をもつ割り当てとなります。
名称 | 子機 | 親機 | 標準 | DIP # |
---|---|---|---|---|
I1 /O5 | I1 | I1 | DI1 | 15 |
I2 /O6 | I2 | I2 | DI2 | 16 |
I3 /O7 | I3 | I3 | DI3 | 17 |
I4 /O8 | I4 | I4 | DI4 | 18 |
I5 /O1 | O1 | O1 | DO1 | 5 |
I6 /O2 | O2 | O2 | DO2 | 8 |
I7 /O3 | O3 | O3 | DO3 | 9 |
I8 /O4 | O4 | O4 | DO4 | 12 |
I9 /O9 | O5 | I5 | SCL | 2 |
I10 /O10 | O6 | I6 | SDA | 19 |
I11 /O11 | I5 | O5 | PWM1 | 4 |
I12 /O12 | I6 | O6 | PWM4 | 11 |
子機の入力を最短で親機へ反映する
子機の連続モードを使用するとき、子機の入力から親機の出力までに通常は 30-70ms 程度の遅延が発生します。すばやい応答が必要とされる場面では、この遅延を小さくするためにインタラクティブモードからオプションビット0x00000001
:低レイテンシモードを設定します。
子機の設定
- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000001
を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
ほぼ同時に複数の入力が変化した際は、順番に送信します。そのため、次に処理される入力は遅延してしまうことに注意してください。
また、入力にチャタリングが発生した場合、そのまま出力へ反映されてしまう場合があることにも注意してください。
低レイテンシモードを子機の間欠モードへ適用したときの振る舞いは、連続モードと異なります。
- 割り込みから起床した際は、対象の割り込みポートの値だけを送信します
- あるポートを割り込み起床ピンとして利用し、起床した際に他のポートの状態を同時に読むことはできません
- スリープから復帰した際は、IOポートの状態を通常の1/4の時間で確定させます
パケットの断絶時に信号を復帰させる
いずれかの入力がLoの状態のまま電波が途切れた場合には、実際の入力がLoからHiへ戻っても出力はLoを維持します。
パケットが断絶した際に信号を元の状態へ戻すには、リモコン長押しモードを適用します。リモコン長押しモードでは、送信側の入力が変化してからしばらくの間、継続的に信号を送信します。受信側では、Lo 状態を示すパケットが断絶してから一定の時間が経過すると、タイムアウトして出力を Hi へ戻します。
子機の設定
M1
/M2
/M3
を開放し、子機:連続モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000100
を入力してEnter
を押下するd
(小文字)を入力し、ホールド/長押しモードの対象(000000001010
ならI2
とI4
、長押し時に連続送信するポート)を入力してEnter
を押下するD
(大文字)を入力し、ホールド/長押しモードの時間(すべての入力がLoからHiへ戻ったあとに送信を続ける時間)を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
親機の設定
M1
/M2
/M3
を開放し、子機:連続モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000100
を入力してEnter
を押下するd
(小文字)を入力し、ホールド/長押しモードの対象(000000001010
ならO2
とO4
、断絶時にタイムアウトするポート)を入力してEnter
を押下するD
(大文字)を入力し、ホールド/長押しモードの時間(Loの信号が途切れてからHiへ戻すまでの時間)を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
子機を省電力リモコンとする
子機を電池で駆動させる場合には、スリープと起床を繰り返す間欠モードが有効です。低レイテンシモードおよびホールドモードを併用することで、子機のボタンを押した際に親機の出力を設定した時間にわたって維持する動作を実現できます。
子機の設定
M1
/M2
/M3
をGND
へ接続し、子機:間欠10秒モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000001
を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
親機の設定
M1
/M2
/M3
を開放し、子機:連続モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するd
(小文字)を入力し、ホールド/長押しモードの対象(000000001010
ならO2
とO4
、ホールドするポート)を入力してEnter
を押下するD
(大文字)を入力し、ホールド/長押しモードの時間(ホールドする時間)を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
子機を長押し省電力リモコンとする
子機を電池で駆動させる場合には、スリープと起床を繰り返す間欠モードが有効です。低レイテンシモードおよびリモコン長押しモードを併用することで、子機のボタンを押している間に親機への送信を連続的に行うことができます。また、子機のボタンを離したあとに一定の時間にわたって送信を続け、親機側では子機のボタンを押した状態の電波が途切れてから一定の時間が経過した場合に出力を元に戻します。このため、省電力性能に優れた子機の入力をより確実に親機へ届けることができます。
子機の設定
M1
/M2
/M3
をGND
へ接続し、子機:間欠10秒モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000103
(00000100
+00000001
+00000002
) を入力してEnter
を押下するd
(小文字)を入力し、ホールド/長押しモードの対象(000000001010
ならI2
とI4
、長押し時に連続送信するポート)を入力してEnter
を押下するD
(大文字)を入力し、ホールド/長押しモードの時間(すべての入力がLoからHiへ戻ったあとに送信を続ける時間)を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
親機の設定
M1
/M2
/M3
を開放し、子機:連続モード を設定する- TWELITE STAGE アプリを立ち上げる
- シリアルポート選択から接続したデバイスを選択する
- 「メインメニュー」から「3: インタラクティブモード」を選択する
Enter
を押し、設定項目が表示されることを確認するo
(小文字)を入力し、オプションビットの値00000100
を入力してEnter
を押下するd
(小文字)を入力し、ホールド/長押しモードの対象(000000001010
ならO2
とO4
、断絶時にタイムアウトするポート)を入力してEnter
を押下するD
(大文字)を入力し、ホールド/長押しモードの時間(Loの信号が途切れてからHiへ戻すまでの時間)を入力してEnter
を押下するS
(大文字)を入力して保存し、ESC
を押下して終了
2 - TWELITE SPOT
TWELITE と ESP32 で広がる世界
TWELITE SPOT は、小型で省電力、さらにペアリングをしないため多くの端末を同時に使用できる TWELITE シリーズと無線 LAN マイコンモジュール ESP32 を組み合わせた製品です。
TWELITE シリーズを愛用されているお客さまへ
周波数チャネルなどの設定変更は ESP32 から行います。他製品のように 7Pインタフェースからインタラクティブモードを使用することはできません 。ESP32 向けに用意された TWELITE 専用の Arduino ライブラリを使って設定 します。
※ TWELITE 側の 7P インタフェースは、SPOT 専用の親機アプリのアップデートにのみ使用します。
ESP32 のファームウェアを開発することで、例えば下記のようなシステムを実現できます。
ローカルサーバ | ローカルゲートウェイ | IoT ゲートウェイ |
TWELITE | TWELITE | TWELITE |
ローカルサーバ
ESP32 をサーバとして使用します。例えば、TWELITE CUE が計測した加速度データをスマートフォンに表示したり、TWELITE DIP の出力ポートをスマートフォンで操作したりすることができます。
ローカルゲートウェイ
ESP32 を LAN に接続します。例えば、ビル全体に設置した TWELITE ARIA が送るデータを各フロアの TWELITE SPOT で受信し、LAN 上のサーバに全フロアの温湿度データを集約することができます。
IoT ゲートウェイ
ESP32 をインターネットに接続します。例えば、TWELITE CUE と磁石をドアに取り付け、取得したドアの開閉状態から、ドアが開いたままであることをクラウド上で検知できます。
Arduino IDE と専用ライブラリによる開発
TWELITE SPOT によるシステムを構築するには、ESP32 のファームウェアを開発する必要があります。
このとき、ESP32 のファームウェア開発には Arduino IDE が使用できます。
Web 上には、Arduino IDE によるファームウェア開発についての膨大な情報があります。
例えば、esp32 arduino
と検索してみてください。
Arduino ライブラリマネージャで配布中の MWings ライブラリ により、TWELITE 子機からのパケット受信や TWELITE 子機へのコマンド送信を簡単に行うことができます。
スタートガイドの流れ
このスタートガイドでは、TWELITE SPOT の動作確認、ESP32 開発環境の構築、簡単なスケッチの作成および書き込みを行います。
1. TWELITE SPOT の動作を確認する
内容
TWELITE SPOT にプリインストールされているアプリを使って、加速度センサー無線タグ TWELITE CUE のデータをスマートフォンで閲覧してみます。
必要なもの
TWELITE SPOT | TWELITE CUE | |
TWELITE 親機 | TWELITE 子機 |
2. ESP32 の Hello World を行う
内容
開発環境の構築、Hello World スケッチの作成・書き込み、動作確認を行ってみます。
必要なもの
TWELITE SPOT | TWELITE R3 | |
ファームウェアを | PC と |
3. TWELITE CUE からデータを取得する
内容
TWELITE CUE の加速度データを ESP32 から出力してみます。
必要なもの
TWELITE SPOT | TWELITE CUE | TWELITE R3 |
ファームウェアを | TWELITE SPOT と | PC と |
スタートガイドでは、サードパーティのオープンソースソフトウェアを使用します。
サードパーティのソフトウェアについて、その詳しい使用方法を弊社からご案内することはいたしかねます。また、サードパーティのソフトウェアを使用されたことによるいかなる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。
2.1 - まずは使ってみる
ここでは、TWELITE SPOT が無線 LAN のアクセスポイントとして機能します。
用意するもの
-
無線LANゲートウェイ TWELITE SPOT
- 電源用 USB-C ケーブル
- USB AC アダプタ(1A 以上供給できるもの)
- 加速度センサー無線タグ TWELITE CUE (お持ちでない場合はご購入ください 👉 販売店一覧)
- 📱 スマートフォン
TWELITE SPOT の動作を確認する
1. 本体を起動する ⚡
TWELITE SPOT の側面に USB-C ケーブルを接続し、USB AC アダプタから電源を供給してください。
2. TWELITE CUE を起動する ⚡
TWELITE CUE に CR2032 型コイン電池を挿入してください。ただちに動作を開始します。
TWELITE CUE が初期設定でないと、TWELITE SPOT と通信できません。
TWELITE CUE の設定を変更している場合は、再度設定変更を行い、工場出荷時の状態に戻してください
3. スマートフォンを接続する 📱
スマートフォンの Wi-Fi 設定からネットワーク TWELITE SPOT (XXXX)
に接続してください。
twelitespot
です。また SSID の XXXX
は機種ごとの識別子です。4. Webブラウザを開く 🌐
スマートフォンのWebブラウザを開き、spot.local
へアクセスしてください。
接続できない場合は、192.168.1.1
へのアクセスをお試しください。
それでも接続できない場合は、http://192.168.1.1/
へのアクセスをお試しください。
以下のような画面が表示されます。
5. CUE ビューアを開く 📈
CUE Viewer をタップして、CUE ビューアの画面を開いてください。
以下のような画面が表示されます。
TWELITE CUE の向きを変えてみてください。
CUE ビューアは、TWELITE CUE に表記されたサイコロの目を表示します。
2.2 - ESP32 を使ったファームウェア開発の基礎
ESP32 は、単体でも無線 LAN によるシステムを構築することができます。例えば、ホストした Web ページにデータを表示したり、データを WebSocket で LAN 内のサーバに送信したり、クラウドサービスへ REST API を投げたりすることができます。
TWELITE SPOT は、この ESP32 に TWELITE を組み合わせることで、多数の小型で省電力な無線タグを利用できるようにした製品です。
まずは ESP32 のファームウェア開発の基礎を習得するため、Hello World を行ってみましょう。
開発環境の構築、Hello World スケッチの作成・書き込み、動作確認を行います。
用意するもの
-
無線LANゲートウェイ TWELITE SPOT
- 電源用 USB-C ケーブル
- USB AC アダプタ(1A 以上供給できるもの)
-
USBアダプター TWELITE R3 (お持ちでない場合はご購入ください 👉 販売店一覧)
- 通信用 USB-C ケーブル
- 💻 コンピュータ
環境を構築する
1. IDE を導入する 🚛
コンピュータに Arduino IDE 1.x を導入していない場合は、Arduino 公式ダウンロードページから Legacy IDE (1.8.X) をダウンロードのうえ、これをインストールしてください。
Arduino IDE 1.x を導入してください。
最新の Arduino IDE 2.x でも Arduino IDE 1.x と同様にスケッチを書き込めますが、2023年5月現在 Java 製プラグインが動作しないため、Legacy IDE を推奨しています。
2. ツールチェインを導入する 🚚
Arduino IDE 1.x に Arduino core for the ESP32 を導入していない場合は、ボードマネージャの URL に下記を追加し、esp32
ボード定義をインストールしてください。
https://espressif.github.io/arduino-esp32/package_esp32_index.json
3. ボード設定を行う ⚙️
TWELITE SPOT に合わせて、Arduino core for the ESP32 の設定を行います。
ボード種別を選択する
ツールバーの ツール -> ボード -> ESP32 Arduino -> ESP32 Dev Module を選択してください。
ボード設定を行う
下図と同様に設定してください。
Flash size
を 4MB (32Mb)
から 16MB (128Mb)
に変更してください。TWELITE SPOT を準備する
1. フタをはずす ⛏️
TWELITE SPOT のケース上面のフタをはずしてください。
スイッチやコネクタ類が露出します。
2. TWELITE R3 / R2 をつなぐ 🔌
ESP32用 7P インターフェイス(ESP32
と記載)に TWELITE R3 / R2 を接続してください。
TWELITE R3 / R2 は、必ず上図と同じ向きで TWELITE SPOT に接続してください。誤った向きで接続すると、 TWELITE SPOT や TWELITE R3 / R2 が破損する恐れがあります。
覚え方 👉 TWELITE R3 / R2 の表面を接続対象に向けるようにします。
3. USB-C 電源をつなぐ ⚡
側面の USB-C コネクタ に 5V 電源を供給してください。
スケッチを動かす
Arduino では、プログラムコード/プロジェクトのことをスケッチと呼びます。
1. スケッチを作成する 👨💻
ESP32 から文字列をシリアル出力し、Arduino IDE のシリアルモニタに出力する Hello World スケッチを作成します。
Arduino IDE を起動して、下記のコードを入力してください。
void setup() {
Serial.begin(115200);
Serial.println("Hello, World!");
}
void loop() {
}
setup()
の内容は起動時に一度だけ実行されます。一方、loop()
の内容は際限なく繰り返し実行されます。
2行目では、シリアルポートのボーレート(通信速度)を 115200bps に設定しています。
Serial.begin(115200);
3行目では、"Hello, World!"
という文字列をシリアルポートに出力しています。
Serial.println("Hello, World!");
Serial.println()
では、末尾に改行 (CRLF) が自動的に付与されます。2. スケッチを書き込む ⚒️
シリアルポートを選択する
ツール -> シリアルポート メニューから、 接続したデバイス(TWELITE R シリーズ)のポートを選択してください。
COM?
といった名称に、macOS / Linux では /dev/tty?
といった名称になります。ESP32 を起動する
ESP32 をプログラムモードで起動します。
ESP32 リセットスイッチ EN(RST)
と ESP32 ブートスイッチ BOOT
を押し、EN(RST)
-> BOOT
の順で離してください。
BOOT
を押した状態でリセットすることが重要です。スケッチを書き込む
Arduino IDE 上部の マイコンボードに書き込む ボタンをクリックしてください。
3. シリアルモニタを開く 🖥️
画面を開く
Arduino IDE 右上の シリアルモニタ ボタンをクリックしてください。
設定する
シリアルモニタ画面の右下のボーレートを 115200 に設定してください。
4. スケッチを動かす 🚀
ESP32 を再起動する
書き込みが完了したら、TWELITE SPOT の ESP32 リセットスイッチ EN(RST)
を押して離し、ESP32 をリセットしてください。
シリアルモニタを確認する
シリアルモニタに以下の文字列が表示されたら成功です。
Hello, World!
2.3 - TWELITE 子機からのデータ受信
用意するもの
-
無線LANゲートウェイ TWELITE SPOT
- 電源用 USB-C ケーブル
- USB AC アダプタ(1A 以上供給できるもの)
-
加速度センサー無線タグ TWELITE CUE (お持ちでない場合はご購入ください 👉 販売店一覧)
- CR2032 コイン電池
-
USBアダプター TWELITE R3 (お持ちでない場合はご購入ください 👉 販売店一覧)
- 通信用 USB-C ケーブル
- 💻 コンピュータ
環境を構築する
1. 開発環境を導入する 🚛
ESP32 を使ったファームウェア開発の基礎 の環境構築を行っていない場合は、これを実施してください。
2. ボード設定を行う ⚙️
ボード種別を ESP32 Dev Module
としたうえで、下記のように設定してください。
3. ライブラリを導入する 🚚
ESP32 から TWELITE を使うために必要となる MWings ライブラリをインストールします。
スケッチ -> ライブラリをインクルード -> ライブラリを管理… を開いてください。
検索ボックスに MWings
と入力し、MWings をインストールしてください。
TWELITE SPOT を準備する
1. フタをはずす ⛏️
TWELITE SPOT のケース上面のフタをはずしてください。
2. ケーブルをつなぐ 🔌
ESP32用 7P インターフェイス(ESP32
と記載)に TWELITE R3 / R2 を接続したうえで、側面の USB-C コネクタ に 5V 電源を供給してください。
まずはスケッチを動かしてみる
1. サンプルを開く 📂
Arduino IDE を起動し、ファイル -> スケッチ例 -> MWings -> monitor_spot_app_cue を選択してください。
2. シリアルポートを選ぶ ⚙️
ツール -> シリアルポート メニューから、 接続したデバイス(TWELITE R シリーズ)のポートを選択してください。
3. ESP32 を起動する 👇
ESP32 をプログラムモードで起動します。
リセットスイッチ EN(RST)
と ESP32 ブートスイッチ BOOT
を押し、EN(RST)
-> BOOT
の順で離してください。
4. スケッチを書き込む ⚒️
Arduino IDE 上部の マイコンボードに書き込む ボタンをクリックしてください。
5. シリアルモニタを開く 🖥️
画面を開く
Arduino IDE 右上の シリアルモニタ ボタンをクリックしてください。
設定する
シリアルモニタのボーレートを 115200
に設定してください。
6. ESP32 を再起動する 🚀
書き込みが完了したら、TWELITE SPOT の ESP32 リセットスイッチ EN(RST)
を押して離し、ESP32 をリセットしてください。
ESP32 を再起動すると、TWELITE も再起動します。
- ESP32 が起動すると、基板の ESP32 側に実装された LED が点滅します。
- TWELITE が起動すると、基板の TWELITE 側に実装された LED が1秒間点灯します。
7. 起動を確認する 💬
シリアルモニタに以下の文字列が表示されたら、起動に成功しています。
Monitor example for TWELITE SPOT: App_CUE (CUE Mode)
TWELITE ARIA の場合は、下記のように表示されます。
Monitor example for TWELITE SPOT: App_ARIA (ARIA Mode)
8. TWELITE CUE を起動する ⚡
TWELITE CUE に CR2032 型コイン電池を挿入してください。ただちに動作を開始します。
0x67720102
、周波数チャネル 18
)。9. 受信を確認する 💬
シリアルモニタに以下のような文字列が表示されたら、TWELITE CUE からのデータ受信に成功しています。
Packet Number: #3
Source Logical ID: 0x1
LQI: 147
Supply Voltage: 3310 mV
Accel Event: Dice (1)
Accel X Axis [0]: 72 mG
Accel Y Axis [0]: -64 mG
Accel Z Axis [0]: 1000 mG
Magnet State: Leaving or Not found
スケッチの解説
サンプルスケッチ(monitor_spot_app_cue.ino
)の内容を簡単に解説します。
ライブラリのインクルード
4行目では、さきほど導入した MWings ライブラリをインクルードしています。
#include "MWings.h"
ピン番号の定義
6-8行目では、ピン番号を定義しています。
const int RST_PIN = 5;
const int PRG_PIN = 4;
const int LED_PIN = 18;
名称 | 内容 |
---|---|
RST_PIN | TWELITE の RST ピンが接続されているピンの番号 |
PRG_PIN | TWELITE の PRG ピンが接続されているピンの番号 |
LED_PIN | 基板上の ESP32 用 LED が接続されているピンの番号 |
RST_PIN
および PRG_PIN
の番号は変更しないでください。
これらを変更してしまうと、TWELITE を正しく起動することができません。
TWELITE 設定の定義
10-11行目では、TWELITE SPOT に搭載された TWELITE 親機に適用する設定を定義しています。
const uint8_t TWE_CHANNEL = 18;
const uint32_t TWE_APP_ID = 0x67720102;
名称 | 内容 |
---|---|
TWE_CHANNEL | TWELITE の 周波数チャネル |
TWE_APP_ID | TWELITE の アプリケーション ID |
シリアルポートの設定
19-21行目では、使用するシリアルポートを初期化するとともに、シリアルモニタへ起動メッセージを出力しています。
Serial.begin(115200);
Serial.println("Monitor example for TWELITE SPOT: App_CUE (CUE Mode)");
Serial2.begin(115200);
Serial
は、Arduino IDE の シリアルモニタとの通信に使います。シリアルモニタの設定に合わせて、ボーレートを 115200
bps としています。
一方、Serial2
は、TWELITE SPOT に搭載された TWELITE 親機との通信に使います。こちらも TWELITE 親機の初期設定に合わせて、ボーレートを 115200
bps としています。
TWELITE の設定
24-26行目では、Twelite.begin()
を呼び出し、TWELITE SPOT に搭載された TWELITE 親機の設定と起動を行っています。
Twelite.begin(Serial2,
LED_PIN, RST_PIN, PRG_PIN,
TWE_CHANNEL, TWE_APP_ID);
引数 | 型 | 内容 |
---|---|---|
Serial2 | HardwareSerial& | TWELITE との通信に使うシリアルポート |
LED_PIN | int | ステータス LED を接続したピンの番号 |
RST_PIN | int | TWELITE の RST ピンを接続したピンの番号 |
PRG_PIN | int | TWELITE の PRG ピンを接続したピンの番号 |
TWE_CHANNEL | uint8_t | TWELITE の 周波数チャネル |
TWE_APP_ID | uint32_t | TWELITE の アプリケーション ID |
パケット受信時のイベントの登録
29-49行目では、Twelite.on()
を呼び出し、TWELITE CUE から送られたデータに対して行う処理を登録しています。
ここでは、受信したパケットの内容をシリアルモニタに出力しています。
Twelite.on([](const ParsedAppCuePacket& packet) {
Serial.println("");
Serial.print("Packet Number: #");
Serial.println(packet.u16SequenceNumber, DEC);
Serial.print("Source Logical ID: 0x");
Serial.println(packet.u8SourceLogicalId, HEX);
Serial.print("LQI: ");
Serial.println(packet.u8Lqi, DEC);
Serial.print("Supply Voltage: ");
Serial.print(packet.u16SupplyVoltage, DEC); Serial.println(" mV");
Serial.print("Accel Event: ");
printAccelEvent(packet.u8AccelEvent);
Serial.print("Accel X Axis [0]: ");
Serial.print(packet.i16SamplesX[0], DEC); Serial.println(" mG");
Serial.print("Accel Y Axis [0]: ");
Serial.print(packet.i16SamplesY[0], DEC); Serial.println(" mG");
Serial.print("Accel Z Axis [0]: ");
Serial.print(packet.i16SamplesZ[0], DEC); Serial.println(" mG");
Serial.print("Magnet State: ");
printMagnetState(packet.u8MagnetState, packet.bMagnetStateChanged);
});
上記のイベントは、TWELITE CUEからのパケットを受信したときにだけ呼び出されます。
受信したパケットの内容は ParsedAppCuePacket
型の引数 packet
に格納されます。
packet
には、下記のデータが含まれています(太字 のデータを上記のコード中で使用しています)。
データ | 型 | 内容 |
---|---|---|
packet.u32SourceSerialId | uint32_t | 送信元のシリアルID |
packet.u8SourceLogicalId | uint8_t | 送信元の論理デバイスID |
packet.u16SequenceNumber | uint16_t | シーケンス番号 |
packet.u8Lqi | uint8_t | LQI(電波通信品質の指標) |
packet.u16SupplyVoltage | uint16_t | 電源電圧 (mV) |
packet.i16SamplesX | int16_t[10] | 各サンプルの X 軸加速度 (mG) |
packet.i16SamplesY | int16_t[10] | 各サンプルの Y 軸加速度 (mG) |
packet.i16SamplesZ | int16_t[10] | 各サンプルの Z 軸加速度 (mG) |
packet.u8SampleCount | uint8_t | サンプル数 |
packet.bHasAccelEvent | bool | 加速度イベントがあるならtrue |
packet.u8AccelEvent | uint8_t | 加速度イベントID |
packet.u8MagnetState | uint8_t | 磁気イベントID |
packet.bMagnetStateChanged | bool | 磁気センサの状態が変化したならtrue |
TWELITE ARIA の場合には、ParsedAppAriaPacket
型を利用します。
Twelite.on()
はデータの種別ごとに記述することができ、例えば下記のような記述を追加することで TWELITE ARIA からのデータを受信した際の処理を追加できます。
Twelite.on([](const ParsedAppAriaPacket& packet) {
// Handle packet...
});
詳しくは API リファレンス をご覧ください。
TWELITE のデータの更新
55行目では、Twelite.update()
を呼び出しています。
Twelite.update();
Twelite.update()
は、TWELITE 親機から送信されるパケットデータ(ModBus ASCII 形式)を順次1バイトずつ読み出す関数です。
loop()
内で繰り返し Twelite.update()
を呼ぶことで、TWELITE 親機から送信されるパケットデータの解釈が進みます。パケットデータの解釈を終えた際に 上記 のようなイベントが呼ばれる仕組みです。delay()
などの処理でこの関数の呼び出しをブロックすると、パケットデータ文字列の読み出しが間に合わないことがあります。時間のかかる処理は必ず非同期の実装として、loop()
関数をできるだけ高速回転させるようにしてください。ステップアップに向けて、下記のスケッチ解説や 関連情報 をご覧ください。
2.4 - 関連情報
MWings ライブラリ
- GitHub リポジトリ:monowireless/mwings_arduino
- MWings API リファレンス:TWELITE Wings API for 32-bit Arduinos
TWELITE 製品データシート
TWELITE SPOT マニュアル
スケッチ解説
その他
- 無線性能に配慮した設置方法
- Arduino IDE 1.x による開発環境の構築方法
- ESP32 へのスケッチの書き込み方法
- ESP32 へのファイルの書き込み方法
- ESP32 のパーティションテーブルを指定した書き込み方法
外部リンク
Arduino
- 公式サイト:Arduino - Home
ESP32
- 製品情報:ESP32 Wi-Fi & Bluetooth MCU I Espressif Systems
- データシート:esp32_datasheet_en.pdf
- Arduino 向けツールチェイン:espressif/arduino-esp32: Arduino core for the ESP32
- スタートガイド:Getting Started — Arduino-ESP32 documentation
- 導入方法:Installing — Arduino-ESP32 documentation
- API リファレンス:Libraries — Arduino-ESP32 documentation
- Wi-Fi API:Wi-Fi API — Arduino-ESP32 documentation
- チュートリアル:Tutorials — Arduino-ESP32 documentation
- トラブルシューティング:Troubleshooting — Arduino-ESP32 documentation
- ESP-IDF:espressif/esp-idf: Espressif IoT Development Framework
- ドキュメント:ESP-IDF Programming Guide - ESP32
- マルチタスクやキュー関連:FreeRTOS (ESP-IDF) - ESP32
- ドキュメント:ESP-IDF Programming Guide - ESP32
ESP-IDF は、FreeRTOS を利用した ESP32 の公式開発環境です。
Arduino core for the ESP32 は ESP-IDF をベースに実装されているため、Arduino から ESP-IDF の機能を呼び出すこともできます。
スケッチ spot-google-sheets では、FreeRTOS のマルチタスク機能とキューを利用しています。
例えば、マルチタスクを行うには
xTaskCreatePinnedToCore()
といった関数が使えます
コミュニティ
ライブラリ
- 非同期 TCP:me-no-dev/AsyncTCP: Async TCP Library for ESP32
- 非同期 Web サーバ:me-no-dev/ESPAsyncWebServer: Async Web Server for ESP8266 and ESP32
- WebSocket:Links2004/arduinoWebSockets: arduinoWebSockets
- Google スプレッドシート:mobizt/ESP-Google-Sheet-Client: Arduino Google Sheet REST client library
- 日付と時刻:PaulStoffregen/Time: Time library for Arduino
- Seeed 96x96 / 128x128 OLED:Seeed-Studio/OLED_Display_96X96: Seeed OLED Display 96*96 library
プラグイン
- ファイル書き込み:me-no-dev/arduino-esp32fs-plugin: Arduino plugin for uploading files to ESP32 file system
- スタックトレース:me-no-dev/EspExceptionDecoder: Exception Stack Trace Decoder for ESP8266 and ESP32
3 - TWELITE STAGE SDK / act
MWX ライブラリと act
MWX ライブラリは、TWELITE 無線モジュールのコード表記を簡素化することを目的としています。MWXで作成されたプログラムをアクト act と呼びます。アクトにはループによる記述と、イベントによる記述(ビヘイビア behavior と呼びます)の二種類があります。
ループによる記述 (setup(), loop())
小規模な機能を記述する場合に適しています。
#include <TWELITE>
const uint8_t PIN_LED = 5;
void setup() {
pinMode(PIN_LED, OUTPUT);
}
void loop() {
if (TickTimer.available()) {
uint32 t_now = millis();
// blink LED every 1024ms
digitalWrite(PIN_LED, (t_now >> 10) & 1 ? HIGH : LOW);
}
}
イベントドリブンのアプリケーション記述
各種イベント・割り込みハンドラの定義、アプリケーションの複雑な振る舞いを記述するのに適したステートマシンをクラス内に定義して、見通しの良いコードを記述できます。この記述方法をビヘイビアと呼びます。
// myApp.hpp
...
class myApp : MWX_APPDEFS_CRTP(myApp) {
...
void loop() {
// main loop
}
void receive(mwx::packet_rx& rx) {
// on receive
}
};
// myApp.cpp
...
MWX_DIO_EVENT(12, uint32_t arg) {
// on event from DIO12
}
ペリフェラルの手続きを簡素化
よく使われる UART, I2C, SPI, ADC, DIO, タイマー, パルスカウンタを取り扱うクラスオブジェクトを定義しています。
void loop() {
while(Serial.available() {
auto x = Serial.read(); ... } // serial message
if (Analogue.available() {
auto x = Analogue.read(...); } // adc values
if (Buttons.available() {
Buttons.read(...); } // DIO changes
if (the_twelite.receiver.available()) {
auto&& rx = the_twelite.receiver.read(); } // on rx packet
}
シンプルな中継ネットワークを定義
この中継ネットワークは TWELITE 標準アプリケーションと同等の実装で、個体アドレスの管理は 8bit の論理IDで行うこと、ネットワーク構築のための通信を行わないため電源投入後すぐにネットワーク宛に無線パケットを送ることができる点が特徴です。
#include <TWELITE>
#include <NWK_SIMPLE>
void setup() {
...
auto&& nwksmpl = the_twelite.network.use<NWK_SIMPLE>();
nwksmpl << NWK_SIMPLE::logical_id(0xFE)
// set Logical ID. (0xFE means a child device with no ID)
<< NWK_SIMPLE::repeat_max(3);
// can repeat a packet up to three times.
}
void loop() {
...
vTransmit();
...
}
void vTransmit() {
if (auto&& pkt =
the_twelite.network.use<NWK_SIMPLE>().prepare_tx_packet();
pkt << tx_addr(0x00) // to parent
<< tx_retry(0x3); // set retry
pack_bytes(pkt.get_payload() // prepare payload data
, uint8_t(0x01)
, uint16_t(analogRead(PIN_ANALOGUE::A1))
, uint16_t(analogRead_mv(PIN_ANALOGUE::VCC)));
pkt.transmit(); // transmit!
}
TWELITE APPS のパケットとの互換性はありません
TWELITE APPS における中継回数は原則として3回に限られますが、act のパケットは64回まで中継できます。
中継回数を増やす際は、中継済みのパケット(重複パケットの管理テーブルがクリアされたもの)であっても、パケットが遠回りして一定時間経過後に戻ってきた際には、再び中継されてしまう場合があることに注意してください。
PAL や MONOSTICK 向けのボード定義
ボード上のセンサーなどを容易に取り扱えます。
#include <TWELITE>
#include <PAL_AMB> // include the board support of PAL_AMB
void setup() {
auto&& brd = the_twelite.board.use<PAL_AMB>(); // use PAL AMB
uint8_t u8dip = brd.get_DIP_SW(); // check DIP s/w status
brd.set_led(LED_TIMER::BLINK, 100); // LED switchs on/off every 100ms
...
// start capture of sensors
brd.sns_SHTC3.begin();
}
void loop() {
if (TickTime.available()) { // check every ms
auto&& brd = the_twelite.board.use<PAL_AMB>();
if (brd.sns_LTR308ALS.available()) {
Serial << brd.sns_SHTC3..get_temp();
} else {
// notify sensor that 1ms passed.
brd.sns_SHTC3.process_ev(E_EVENT_TICK_TIMER);
}
}
}
3.1 - 開発環境
開発環境を構築するためには、ソフトウェア群のインストール、またこれらの利用許諾に同意する必要があります。また、PC、ワークステーション上でセキュリティ設定等が必要になる場合があります。
- 配布時には十分注意しておりますが、ウィルスなどの確認はお客様のほうでも留意いただくようお願いいたします。
- お客様のセキュリティの考え方や運用(例:外部アプリケーションのインストールの可否)については、お客様の環境の管理者にご確認ください。
また、開発環境をインストールまた動作するにあたり、OSが介在し設定等必要になる場合があります(例:開発元が不明なアプリケーションの実行。開発環境または紹介するツール群の多くは、アプリケーションは開発元を証明する仕組みが組み込まれせん)。設定方法については、一般の情報を参考いただくようお願いいたします。
MWXライブラリを用いてアプリケーションを記述するには以下が必要です。
- MWSDK(ソフトウェア開発環境)
- 開発用エディタ(Microsoft社のVisual Studio Codeを紹介します)
Windows
コンパイラのツールチェインなどは比較的環境への依存度が低いため、多くの環境で動作することが期待できますが、現在サポートされている Windows10および11バージョンを推奨します。動作環境の差異により動作しないような場合は、当社で確認している環境を参考に別途環境を用意してください。
以下、開発で使用しているバージョンを挙げます。
- Windows11 21H2 (Visual Studio 2019)
- FTDI社のドライバが動作していること (MONOSTICK, TWELITE Rを動作させるため)
WSL (Windows Subsystem Linux) 環境下でもコンパイラを動作させることが出来ます。ただしコンパイルのみでファームウェアの書き換え等はWindows10上のユーティリティから実施してください。
WSL環境は必須ではありません。
Linux
コンパイラのツールチェインなどは比較的環境への依存度が低いため、多くの環境で動作することが期待できますが、現在サポートされているディストリビューションを推奨します。動作環境の差異により動作しないような場合は、当社で確認している環境を参考に別途環境を用意してください。
以下、開発で使用しているバージョンを挙げます。
- Ubuntu 18.04 LTS 64bit
- Ubuntu 20.04 LTS 64bit
macOS
コンパイラのツールチェインなどは比較的環境への依存度が低いため、多くの環境で動作することが期待できますが、現在サポート中のmacOSバージョンを推奨します。動作環境の差異により動作しないような場合は、当社で確認している環境を参考に別途環境を用意してください。
以下、開発で使用しているバージョンを挙げます。
- macOS 10.14 Mojave (Intel)
- macOS 12 Monterey (Apple Silicon)
Visual Studio Code などの開発ツールについて
開発環境を動作させるためのツールや使用方法については、その開発元やコミュニティの情報を参照ください。
コード記述作業の効率面で Visual Studio Code (VSCode) の利用を推奨します。
MWXライブラリでは、C言語の開発に比べ、読み込むヘッダファイルが多くなるため、VSCode上でのコード解釈等にはより多くのPCのリソースを要求します。
なお、VSCodeは必須ではありません。使い慣れたエディタがある場合には、そちらを使用していただいても結構です。
LSP (Language Server Protocol)を使用できる環境であれば、一般的にVSCodeと同等の作業効率を実現できるものと考えられます。
ビルド環境による差異
Linux/WSL環境下/macOSのビルド結果はWindows10の結果と異なります。通常系の動作で差異が見られることは当社が把握する限りありませんが、特にgccのLTOを無効にしているためバイナリサイズが数%程度大きくなる傾向にあります。
動作等に疑問を感じた際は、必ず Windows10,11 上のビルドを実施し再現することを確認してから、お問い合わせください。
3.2 - SDKのインストール
TWELITE STAGE SDK の導入
TWELITE STAGE SDK 配布アーカイブ(ZIPなど)をダウンロードし、適切なフォルダに展開します。
以下のように展開したら完了です。
環境変数の設定
MWSDK_ROOT
, MWSDK_ROOT_WINNAME
(Windowsのみ)を設定します。
Windows
ここでは展開後のフォルダ名を C:\MWSTAGE
とします。別のフォルダへインストールした場合は、読み替えてください。
C:\MWSTAGE\Tools\SET_ENV.CMD
を実行してください。以下の環境変数を設定します。
MWSDK_ROOT
MWSDK_ROOT_WINNAME
例えば以下のような設定になります。
MWSDK_ROOT=C:/MWSTAGE/MWSDK/
MW_ROOT_WINNAME=C:\MWSTAGE\MWSDK\
インストールしたPC上からTWELITE STAGE SDKをアンインストールするには以下を行ってください。
UNSET_ENV.cmd
を実行してください。環境変数の設定を解除します。MWSTAGE
フォルダを削除します。
Linux
開発環境やシェルに MWX_ROOT
方法はいくつかありますが、ホームフォルダの.profile
(ファイルがなければ新しく作成してください)に以下の設定を追加します。この設定でVSCodeのビルドまで可能です。環境変数が反映されるように設定してください。
MWSDK_ROOT=/foo/bar/MWSTAGE/MWSDK/
export MWSDK_ROOT
エディタを使用せずに追加するには以下のようにコマンド入力します。$
はプロンプトで環境によって表示が違います。/foo/bar/MWSTAGE
の部分はインストールしたフォルダに応じて書き換えてください。
cd $HOME
echo MWSDK_ROOT=/foo/bar/MWSTAGE/MWSDK>>.profile
echo export MWSDK_ROOT>>.profile
macOS
開発環境やシェルに MWX_ROOT
環境変数が反映されるように設定してください。
方法はいくつかありますが、ホームフォルダの.profile(ファイルがなければ新しく作成してください)に以下の設定を追加します。この設定でVSCodeのビルドまで可能です。
MWSDK_ROOT=/foo/bar/MWSTAGE/MWSDK/
export MWSDK_ROOT
エディタを使用せずに追加するには以下のようにコマンド入力します。$
はプロンプトで環境によって表示が違います。/foo/bar/MWSTAGE
の部分はインストールしたフォルダに応じて書き換えてください
MWSDK_ROOT
を適用にするには、launchd
を用います。
VSCodeの一部の設定で環境変数を参照していますが、ビルドには必須ではありません。3.3 - アクトのビルド
MWXライブラリで記述したアプリケーションプログラムをアクト(act)と呼びます。まずは、これをビルドして書き込みます。
- ビルドフォルダ構成について
- Visual Studio Code (VSCodeと記載) でのビルドについて
make
コマンドを実行しています。詳細はMakefileの解説を参照ください。make
やgcc
などビルドツールチェイン)の動作時にセキュリティ警告が出る場合があります。警告を抑制する設定が必要になります。警告を抑制してプログラムを動作する運用を行うかは、お客さま自身またはシステム管理者に相談のうえ、ご判断ください。ビルドフォルダ構成について
MWSDKをインストールしたフォルダMWSDK_ROOT
(例 C:\MWSDK
)を開きます。以下のような構成になっています。
MWSDK_ROOT
|
+-ChipLib : 半導体ライブラリ
+-License : ソフトウェア使用許諾契約書
+-MkFiles : makefile
+-Tools : コンパイラ等のツール一式
+-TWENET : TWENET/MWXライブラリ
+-Act_samples : アクトサンプル
...
アクトファイルはAct_samples
以下に格納しています。(以下は一部割愛しています)
Act_samples
|
+-CoreAppTwelite : App_TweLiteと同じ構成のボード用のアクト
+-PAL_AMB : 環境センス PAL 用のアクト
+-PAL_MAG : 開閉センス PAL 用のアクト
+-PAL_MOT : 動作センス PAL 用のアクト
..
+-Parent-MONOSTICK : 親機アクト、MONOSTICK用
+-PingPong : PingPong アクト
+-PulseCounter : パルスカウンタを利用したアクト
+-act0 : スクラッチ(とりあえず書いてみる)用アクト
これらのアクトは、MWXライブラリの記述の参考となるシンプルな例ですが、多くのアクトは以下の機能を有しています。
- センサー値を取得する
- センサー値取得後、無線パケットを親機宛に送信する
- 送信完了後、一定時間スリープする(または割り込みを待つ)
Parent-MONOSTICK
のアクトによりパケットの受信と表示を行っています。この親機用のアクトは、アスキー形式で出力しています。 (:00112233AABBCC...FF[CR][LF]
のような :
で始まり、途中は16進数のバイトをアスキー文字2字で表現する形式です。末尾の??
は同様に2字のバイトとなりますがLRCというチェックサムバイトになります。参考:アスキー形式)
実際に動作させてみるときは、以下の組み合わせを試してみてください。
親 | 子 | 解説 |
---|---|---|
BRD_APPTWELITE | BRD_APPTWELITE | 親機はM1ピンをLOW(GNDレベル)にして起動する。通常モード(常時稼働)にて、App_Twelite のような動作を確認できます。 |
PingPong | PingPong | 子機2台を使って動作します。片方から Ping パケットを送ると、相手方から Pong パケットが戻ってきます。 |
Parent-MONOSTICK | その他 | 子機用のアクトのパケット送信を確認できます。 |
では、アクトの中から PingPong
のフォルダの中を見てみましょう。
Act_samples
+-PingPong
+-PingPong.cpp : アクトファイル
+-build : ビルドフォルダ
+-.vscode : VSCode 用の設定ファイル
必ずフォルダ直下にフォルダと同名の .cpp
ファイルが必要です。
.cpp
ファイル内に記述します。規模が大きくなってきたときはMakefileの解説を参考にして複数のファイルに分割してビルドすることが出来ます。PingPong
フォルダ直下にアクトファイル PingPong.cpp
があります。フォルダ名を変更した場合は、必ず .cpp
ファイルの名前もフォルダ名と同名にします。次にビルドフォルダを開きます。
Act_samples
+-PingPong
+-build
+-Makefile : makefile
+-build-BLUE.cmd : TWELITE BLUE 用ビルドスクリプト(Windows用)
+-build-RED.cmd : TWELITE RED 用ビルドスクリプト(Windows用)
+-build-clean.cmd : obj_* ファイル削除
ビルドに必要なスクリプトとMakefile
が格納されています。
このMakefile
のあるフォルダで make TWELITE={BLUEまたはRED}
を実行することで、ビルドが行われます。VSCode でのビルドも同様で内部的に make
を呼び出します。
TWELITE STAGE アプリでのビルド
TWETLITE STAGE アプリを用いて、ビルドから書き込み、実行までを行えます。ここでは、TWELITE STAGE アプリの起動からビルドまでを解説します。
0. TWELITE の接続
MONOSTICKまたはTWELITE Rをお使いのUSBポートに接続します。
TWELITE は繊細な電子部品ですので、取り扱いには十分注意してください。以下に代表的な注意事項を記載します。
特にTWELITE Rを用いている場合は、多くの場合電子基板がケースなどを介さず直接外部に触れる状態で使用するため、意図しないショートやノイズなどUSBデバイスが正常に動作しない状態になる場合があります。
この場合は、アプリケーションを終了させUSBデバイスを抜き差しすることで通常は回復します。最悪、USBデバイスの破損やPCの破損も考えられます。
電子基板の取り扱いには十分注意してください。
- 回路の間違い
- 電源を入れる前にはもう一度回路を確認してください。
- 電池の逆差しや過大電圧には注意してください。
- 静電気
- 人感がない電圧であっても半導体の故障になりえます。大掛かりな対応をしなくとも、金属部に触れてから作業する・リストバンド・専用マットなど簡易にできる対応でも相応の効果はあります。
- 金属物などが触れることでのショート
- 電子基板の近くには金属物がないようにしてください。クリップなどが散らかっているとこれが原因でショートすることもありますし、電池が大放電して加熱する危険な状況も考えられます。
1. TWELITE STAGE アプリの起動
{TWELITE SDK インストール}
フォルダにある実行形式 TWELITE_Stage.{拡張子}
を起動します(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)。
以下は、TWELITE STAGE アプリ動作中の画面例です。左側の主画面とコマンドプロンプト画面がありますが、主画面を操作します。コマンドプロンプト画面は通常使用しませんが、諸情報及びTWELITEマイコンシリアルポートからの入力データが表示されます。
主画面での主な操作は以下です。
- マウス左クリック (選択)
- マウス右ダブルクリック(前の画面に戻る)
- 素早く
ESC
を2回, 一部画面ではESC
1回 (前の画面に戻る) Alt(⌘)
キーを押し続ける(ヘルプ画面)- 通常キーボード入力(画面に従う)
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
2. シリアルポートの選択
TWELITE STAGE アプリを起動すると最初に表示される画面です。事前に TWELITE R や MONOSTICK を接続しておけば、この画面に列挙されます。この画面で操作したい TWELITE を選択します。この画面で選択せずに、別の操作で選択することも可能です。
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
3. メインメニュー
シリアルポート選択画面を抜けると、メインメニューが表示されます。ビルドや書込は「アプリ書換」メニューを選択します。
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
4. アプリ書換メニュー
アプリ書換メニューを選択する前に、TWELITE の接続とシリアルポートの選択を確認しておいてください。シリアルポートの選択状況は Alt(⌘)
キーを押し続けると出現するヘルプ画面上で確認できます。
TWELITE STAGE アプリから参照できるプロジェクトはいくつかに分類されています。右側のヘルプ
は関連情報をブラウザで表示します。フォルダ
はプロジェクトのあるフォルダを表示します。
TWELITE が接続済みであれば、メニューを選択したときに、TWELITE のモデルが判定されます。(TWELITE STAGE アプリ内部では、この判定したTWELITEモデルに応じたビルドを行うようになっています)。
Alt(⌘) + 0
を入力してシリアルポート選択を解除を行ったうえで USB 接続を含む各種接続を確認するなどします。USB接続のエラーによっては、お使いのコンピュータを再起動しないと解決しない場合もあります。(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
4. プロジェクトの選択
ここでは「アプリ書換メニュー」から「actビルド&書換」を選択します。
5. ビルド&書換
ここでは、先ほどのプロジェクト選択画面中で BRD_APPTWELITE
を選択します。
選択すると、以下の画面例のように書き込みが行われます。エラーが表示された場合は、画面の指示に従うか、前の画面戻ってやり直してください。
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
6. インタラクティブモードに移動
書換が正常に終了すると、続けてインタラクティブモード(設定画面)に移行します。ただし、インタラクティブモードに対応するファームウェアでないと画面は表示されません。
インタラクティブモードでは、TWELITE の無線チャネルなど、各種設定を行えます。
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
7. ターミナル画面
ルートメニューに戻って「ビューア」→「ターミナル」を選択します。
ごく簡易的なシリアルターミナルです。TWELITE からのメッセージの確認と、TWELITE に対するメッセージの入力を行えます。
画面では、約1秒おきに無線送信したときのメッセージが表示されます。+ + +
入力によるインタラクティブモード画面への遷移も行えます。
(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)
VSCode でのビルドについて
VSCode はソース編集の強力なエディタですが、VSCode上で TWELITE マイコン用のファームウェアをビルドすることも可能です。
VSCode の起動は TWELITE STAGE アプリの「ビルド&書換」メニュー以下のプロジェクト一覧より行います。
ビルドのリスト中の右端 [VSCode] を押してください。
この動作を行うためには TWELITE STAGE アプリの設定が必要です。
STAGE設定で 「code でフォルダを開く(VSCode)」を 1 にしてください。
TWELITE_Stage_VSCode.{拡張子}
の実行形式を配布しています。すでに VSCode が立ち上がった状態では必要な設定が反映されない場合があります。その場合は、一旦 VSCode を終了して、改めて TWELITE STAGE アプリから VSCode を起動します。
情報の反映のためにシステム環境変数を用いてるため、原理的に、別々のライブラリフォルダを参照する複数の TWELITE STAGE の同時運用では問題が出る場合があります。VSCode 上で Terminal を開き、環境変数 MWSDK_ROOT
が適切に設定されている場合はビルドは正常に行われることが期待できます。
VSCode のビルドタスク
最初にビルドしたいワークスペースを開いておきます。TWELITE STAGE SDK添付のワークスペースにはビルドタスクの定義が追加されています。
以下の例では英語インタフェースの画面例で、ワークスペースを開いています。
ワークスペースを開き [Terminal>Run Task...]
を選択します。
ビルドするTWELITE無線モジュールの種別(BLUE/RED)とアクト名を選択します。以下の例では Build for TWELITE BLUE
を選択しています。選択後すぐにビルドが始まります。
ビルド中の経過は画面下部のターミナル部分に出力されます。
正しくビルドできた場合、上記画面例の反転表示部のように .elf
ファイルが生成されるメッセージがサイズ情報(text data bss dec hex filename
と記載がある部分)とともに出力されます。
またBINファイル(上記では BRD_APPTWELITE_BLUE_???.bin
)ファイルがbuild
フォルダ下に出来上がっているはずです。確認してみてください。
VSCodeのタスク定義には Windowsのファイルシステムに適合しないフォルダ名 (例:/c/User/...
)を変換する(例:C:/User/...
) 定義を追加しています。
下記.vscode/tasks.json
中の変換ルールは完全ではありませんが、出力メッセージ中のドライブ名相当部分の文字列をVSCodeが識別できる形式に書き換えています。この書換によりコンパイルメッセージからエラーが発生しているファイル名と行番号をVSCode中で表示できます。
...
"windows": {
"command": "sh",
"args": [
"-c", "make TWELITE=BLUE 2>&1 | sed -E -e s#\\(/mnt\\)?/\\([a-zA-Z]\\)/#\\\\\\2:/#g"
],
ビルドがうまくいかない場合は、まずエラーメッセージを確認して下さい。error
という文字列が含まれる行中のメッセージから、エラー原因が容易に特定できる場合も少なくありません。
また、クリーン(objs_???
フォルダにある中間ファイルの削除)を行い、ビルドを再実行してみてください。(他の環境でビルドした中間ファイルが残っているとmake clean
を含めすべての操作が失敗します)
コマンドラインでのビルド
コマンドライン環境でのビルドについて補足します。
Linux, macOS 環境
コマンドラインでのビルドは、bashやzsh(または他のシェル)が動作するウインドウでmake
を実行します。事前に環境変数MWSDK_ROOT
が正しく設定されていることを確認してください。例えば/work/MWSDK
にインストールした場合は ~/.profile
(など)に以下のような設定を行います。
MWSDK_ROOT=/work/MWSDK
export MWSDK_ROOT
コマンドラインよりmake
を実行します。make
がない場合はパッケージをインストールする必要があります。
Linuxの場合は、パッケージマネージャからインストールできます(下記はAPTの例)。
sudo apt install make
または
sudo apt install build-essential
macOSの場合は、Command Line Tools for Xcode に同梱されています。
xcode-select --install
Windows 環境
Windowsでは {MWSTAGE SDK インストール}/MWSDK/WIN_BASH.cmd
を実行します。 環境変数や make
ユーティリティが設定済みです。
ビルド
ビルドは以下のようになります。
cd $MWSDK_ROOT
cd Act_samples/PingPong/build
pwd
/mnt/c/MWSDK/Act_samples/PingPong/build
ls
... ファイル一覧の表示
rm -rfv objs_*
... 念のため中間ファイルを削除
make TWELITE=BLUE
... BLUE用に通常ビルド
make -j8 TWELITE=BLUE
... BLUE用にパラレルビルド(同時に8プロセス)
コマンド例
詳細はMakefileの解説をご覧ください。
make TWELITE=BLUE
:TWELITE BLUE用にビルドmake TWELITE=RED
:TWELITE RED用にビルドmake cleanall
:中間ファイルの削除
中間ファイルについて
ビルドが行われると objs_???
フォルダが作成され、その中に中間ファイルが生成されます。このファイルはコンパイルした環境に依存しているため、他の環境のファイルが残っているとmake
がエラーとなりビルドが失敗します。
objs_???
フォルダを削除すると make
のエラーが解消する場合があります。3.4 - 新しいプロジェクトの作成
新しいプロジェクトを作成するには、既存のサンプルアクトのフォルダを別の名前でコピーし、ファイル名の編集を行います。
MWSDK
配下のフォルダでなくても構いません。ただし、フォルダ名に空白文字や日本語名が含まれてはいけません。プロジェクトのファイル構造は以下のようになっています(ここでは PingPong
を例に挙げます)。
Act_samples
+-PingPong
+-PingPong.cpp : アクトファイル
+-build : ビルドフォルダ
+-.vscode : VSCode 用の設定ファイル
この PingPong
フォルダを別の場所(ただしフォルダ名に日本語や空白が含まない)にコピーします。
SomeDir
+-AlphaBravo
+-PingPong.cpp -> AlphaBravo.cpp ※ファイル名を変更
+-build : ビルドフォルダ
+-.vscode : VSCode 用の設定ファイル
編集の必要があるのは、PingPong.cpp
のファイル名です。これをフォルダ名と同じAlphaBravo.cpp
に変更します。
build\build-BLUE.cmd
を実行してBINファイルが生成されれば完了です(Windows10)。
Linux/WSL/macOS ではmake TWELITE=BLUE
を実行して、ビルドが成功するか確認します。
ビルド定義の編集
ビルド対象のファイルを追加する場合は build/Makefile
を編集します。プロジェクト直下にある .c
.cpp
ファイルは自動で追加されますが、それ以外のファイルについては編集が必要です。
編集方法は Makefile の解説をご覧ください。
VSCode用の設定
VSCode を利用する場合は、必要に応じて .vscode
以下の定義を編集してください。
TWELITE STAGE SDK に含まれるサンプルの多くは、以下のようになっています。
- TWELITE STAGE SDK ライブラリのソースコードは
${env:MWSDK_TWENET_LIBSRC}/include/**
${env:MWSDK_TWENET_LIBSRC}/src/**
を引用する。この環境変数MWSDK_TWENET_LIBSRC
は TWELITE STAGE アプリから VSCode でプロジェクトを開いた場合には自動で設定されます。 - ビルドタスクについては、デフォルトで
-D
などの追加的なオプション等は設定されていない。
3.5 - actのためのVSCodeのインストール
このページでは、TWELITE 無線モジュールのファームウェア開発における VSCode の導入について解説しています。汎用的な VSCode の解説はありません。
検索エンジンからお越しいただいたみなさま、申し訳ございません。
超低消費電力が特徴の無線モジュール、TWELITE を覚えていただけると幸いでございます。
act のソースコードの記述を容易に行うために、Visual Studio Code (VSCode) でコード解釈を行うための設定ファイルを同梱しています。
ソースコードの解析や VSCode からのビルドを行うために、ライブラリソースコードが格納されるフォルダの情報などの情報が必要になります。これらの情報は TWELITE STAGE アプリから VSCode を呼び出すことによって反映されます。(具体的には適切な環境変数を設定して VSCode を始動します。プロジェクトの設定は環境変数を参照しています)
VSCode のインストール
当社サポートでは VSCode のインストール方法、使用方法のお問い合わせについては対応いたしません。一般で得られる情報を参照ください。
環境によっては、インストールのためにセキュリティ設定などが必要になる場合があります。インストールの可否はシステム管理者にご確認の上、手順は配布元や一般の情報を参考にしてください。
VSCode の機能
- ソースコードの編集
- ソースコード解釈に基づく intellisense(*全ての定義が正確に解釈されることを保証するわけではありません)
VSCode は公式サイトより入手してください。
プラグインの導入
Visual Studio Code が C/C++ 言語の記述を解釈できるようにするために、プラグインをインストールします。
- C/C++ for Visual Studio Code
各OSでの特記事項
TWELITE STAGE から VSCode を呼び出すために、code
コマンドを有効とする必要があります。
以下は code.visualstudio.com の情報です。
- Running Visual Studio Code on macOS https://code.visualstudio.com/docs/setup/mac
- Running Visual Studio Code on Windows https://code.visualstudio.com/docs/setup/windows
- Running Visual Studio Code on Linux https://code.visualstudio.com/docs/setup/linux
注記事項
MWXライブラリのサンプルには .vscode
の定義を含めています。この定義は MWSDK_ROOT
環境変数を用い、ライブラリのソースコード({MWSDK_ROOT}/TWENET/current
以下)を特定しています。
TWELITE STAGEからVSCodeを始動した場合、上記の環境変数などを設定します。既に始動済みであるような場合など、設定が反映されない場合もあります。
3.6 - ビルド定義 Makefile
Makefileはbuild/Makefile
に格納されています。make
コマンドを実行することで、アクトをビルドするようにあらかじめ定義されています。
MWSDK 2020-04 では、プロジェクトフォルダ中の .cpp
ファイルを自動で検出するため、通常は Makefile
の修正は不要です。
ソースファイルをサブフォルダに格納するような場合は、編集が必要になります。
MWSDK 2019-12以前では、.cpp
ファイルが複数ある場合は、Makefile
の編集が必要です。
プロジェクトフォルダを他の環境からコピーしたあとには、必ずbuild/objs_???
フォルダを削除してください。他の環境での中間ファイルが残っているとmake
がエラーになります。
(MWSDK 2020-04以降) USE_APPDEPS=0
を付加して clean
してから、改めて make
コマンドを実行することでエラーを回避できます。
make USE_APPDEPS=0 TWELITE=BLUE clean
...
make TWELITE=BLUE
makeのパラメータ
TWELITE=
ビルド対象をBLUEまたはREDで指定します。TWELITE BLUEならmake TWELITE=BLUE
と指定します。
all
ビルドを実行します。通常は省略してmake TWELITE=BLUE
のように実行します。
clean
ビルドの中間ファイルを削除します。make TWELITE=BLUE clean
のように実行します。
cleanall
すべての中間ファイルを削除します。make cleanall
のように実行します。build
フォルダのobjs_???
フォルダをすべて削除するのと同じです。
USE_APPDEPS=0 または 1
1 (デフォルト) を設定すると、ファイルの依存関係をもとに、ビルドファイルを決定します。例えば、ヘッダファイルに変更があった場合に関連するソースファイルが再コンパイル対象となります。
0 では依存関係を評価しません。0 に設定した場合、矛盾ある中間ファイルが残っていても make がエラーになりません。
Makefile 定義
アクトの規模に応じて、また、ビヘイビアの定義をする場合には、通常はソースファイルを分割してビルドします。
ビルドファイルの一つはプロジェクトフォルダ名.cpp
です。
他にファイルを定義する場合は、プロジェクトフォルダのbuild/Makefile
を編集します。
下記はサンプルPAL_AMB-bihaviorでのMakefileの例です。
##############################################################################
# Copyright (C) 2019 Mono Wireless Inc. All Rights Reserved.
# Released under MW-SLA-*J,*E (MONO WIRELESS SOFTWARE LICENSE
# AGREEMENT).
##############################################################################
# USER PROJECT BUILD DEFINITION.
##############################################################################
#####################################################################
## set TWELITE model
TWELITE ?= BLUE
#TWELITE = RED
#####################################################################
## set application version (MUST SET THIS.)
VERSION_MAIN = 0
VERSION_SUB = 1
VERSION_VAR = 0
#####################################################################
## set an additional source file
## the default file name is dirname.
## for C++ files compiled with g++ (must have .cpp suffix)
APPSRC_CXX += myAppBhvParent.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvParent-handlers.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvChild.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvChild-handlers.cpp
## for C files compiled with gcc (must have .c suffix)
#APPSRC += my_c_file.c
## Additional Src/Include Path
# if set, find source files from given dirs.
#
APP_COMMON_SRC_DIR_ADD1 = ../Parent
APP_COMMON_SRC_DIR_ADD2 = ../Child
#APP_COMMON_SRC_DIR_ADD3 =
#APP_COMMON_SRC_DIR_ADD4 =
#####################################################################
## set misc option for compiler
## C++ flags passed to g++
# e.g. CXXFLAGS += -DMY_DEFS
#CXXFLAGS +=
## C++/C flags passed to g++/gcc
# e.g. CFLAGS += -DMY_DEFS
#CFLAGS +=
## include opts
# e.g. INCFLAGS += -I../my_common_src/
#INCFLAGS +=
## optimize flag (default is -Os, normally no need to change)
#OPTFLAG=-O2
#####################################################################
## must include mwx.mk (the makefile body part.)
MWSDK_PATH?=$(realpath $(MWSDK_ROOT))
include $(MWSDK_PATH)/MkFiles/mwx.mk
#####################################################################
VERSION_???
バージョン番号を指定します。ビルド結果ファイル名に反映されます。
## set application version (MUST SET THIS.)
VERSION_MAIN = 0
VERSION_SUB = 1
VERSION_VAR = 0
コンパイル中は -DVERSION_MAIN=0
-DVERSION_SUB=1
-DVERSION_VAR=0
のように定義として渡されます。
ソースファイルの追加
.c
.cpp
ファイルがすべて追加されます。ソースファイルを追加する際に必要なのはAPPSRC_CXX
とAPP_COMMON_SRC_DIR_ADD?
です。
APP_COMMON_SRC_DIR_ADD?
の指定が必要です。ソースファイル名をAPPSRC_CXX
に追記します。このファイル名にはフォルダ名が含まれてはいけません。サブフォルダにあるものもフォルダなしで指定します(つまり同じファイル名がサブフォルダにある場合は、ビルドが失敗します)
APPSRC_CXX += myAppBhvParent.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvParent-handlers.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvChild.cpp
APPSRC_CXX += myAppBhvChild-handlers.cpp
次にソースファイルがプロジェクトフォルダ以外の場所に格納されている場合の検索パスを指定します。最大4つまで設定できます。
APP_COMMON_SRC_DIR_ADD1 = ../Parent
APP_COMMON_SRC_DIR_ADD2 = ../Child
フォルダの指定はMakefileからの相対パスになります。
コンパイル・リンカオプション
その他にもいくつかのオプションをコンパイラ・リンカに渡すことができます。
指定 | 内容 |
---|---|
CXXFLAGS | C++ソースファイルに対してコンパイルオプションを指定します。 |
CFLAGS | C/C++ソースファイルに対してコンパイルオプションを指定します。 |
INCFLAGS | ヘッダファイルのインクルードファイルを指定します。 |
OPTFLAGS | 特別な理由があって-Os以外のコンパイルオプションを適用したい場合に定義します。 |
LDFLAGS | リンカオプションを指定します。(上記Makefileのコメントには記述はありませんが指定できます) |
3.7 - 他のプラットフォーム
他のプラットフォームでも一部の機能(serparser, pktparser, コンソール用Serialオブジェクト)をビルドできるように、ビルド定義を用意しています。必要なファイルのみを切り出しています。
ビルド定義は{mwxライブラリ格納}/stdio
フォルダに格納しています。ビルド方法はREADME.md(リンクはGitHub上)を参照してください。
- C++11でのコンパイルが出来ること。
- C++11の標準ライブラリヘッダが利用できること (utility, algorithm, functional, iteratorなど)
new
/delete
/virtual
は使用しません。new
によるメモリ確保は例外的に使用する場合があります。serparser
/pktparser
でnew
演算子を利用するalloc_heapではdelete
による処理を行っています。- (参考) ただし
mwx
ライブラリとしてはdelete
については考慮しない前提で設計されている部分もあります。