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2024-05-14 現在

アクトのビルド

アクト(act)のビルド

    MWXライブラリで記述したアプリケーションプログラムをアクト(act)と呼びます。まずは、これをビルドして書き込みます。

    • ビルドフォルダ構成について
    • Visual Studio Code (VSCodeと記載) でのビルドについて

    ビルドフォルダ構成について

    MWSDKをインストールしたフォルダMWSDK_ROOT (例 C:\MWSDK)を開きます。以下のような構成になっています。

    MWSDK_ROOT
      |
      +-ChipLib      : 半導体ライブラリ
      +-License      : ソフトウェア使用許諾契約書
      +-MkFiles      : makefile
      +-Tools        : コンパイラ等のツール一式
      +-TWENET       : TWENET/MWXライブラリ
      +-Act_samples  : アクトサンプル
      ...
    

    アクトファイルはAct_samples以下に格納しています。(以下は一部割愛しています)

    Act_samples
      |
      +-CoreAppTwelite    : App_TweLiteと同じ構成のボード用のアクト
      +-PAL_AMB           : 環境センス PAL 用のアクト
      +-PAL_MAG           : 開閉センス PAL 用のアクト
      +-PAL_MOT           : 動作センス PAL 用のアクト
      ..
      +-Parent-MONOSTICK  : 親機アクト、MONOSTICK用
      +-PingPong          : PingPong アクト
      +-PulseCounter      : パルスカウンタを利用したアクト
      +-act0              : スクラッチ(とりあえず書いてみる)用アクト
    

    これらのアクトは、MWXライブラリの記述の参考となるシンプルな例ですが、多くのアクトは以下の機能を有しています。

    • センサー値を取得する
    • センサー値取得後、無線パケットを親機宛に送信する
    • 送信完了後、一定時間スリープする(または割り込みを待つ)

    Parent-MONOSTICKのアクトによりパケットの受信と表示を行っています。この親機用のアクトは、アスキー形式で出力しています。 (:00112233AABBCC...FF[CR][LF] のような : で始まり、途中は16進数のバイトをアスキー文字2字で表現する形式です。末尾の??は同様に2字のバイトとなりますがLRCというチェックサムバイトになります。参考:アスキー形式)

    実際に動作させてみるときは、以下の組み合わせを試してみてください。

    解説
    BRD_APPTWELITEBRD_APPTWELITE親機はM1ピンをLOW(GNDレベル)にして起動する。通常モード(常時稼働)にて、App_Tweliteのような動作を確認できます。
    PingPongPingPong子機2台を使って動作します。片方から Ping パケットを送ると、相手方から Pong パケットが戻ってきます。
    Parent-MONOSTICKその他子機用のアクトのパケット送信を確認できます。

    では、アクトの中から PingPong のフォルダの中を見てみましょう。

    Act_samples
      +-PingPong
        +-PingPong.cpp   : アクトファイル
        +-build          : ビルドフォルダ
        +-.vscode        : VSCode 用の設定ファイル
    

    必ずフォルダ直下にフォルダと同名の .cpp ファイルが必要です。

    次にビルドフォルダを開きます。

    Act_samples
      +-PingPong
        +-build
          +-Makefile        : makefile
          +-build-BLUE.cmd  : TWELITE BLUE 用ビルドスクリプト(Windows用)
          +-build-RED.cmd   : TWELITE RED 用ビルドスクリプト(Windows用)
          +-build-clean.cmd : obj_* ファイル削除
    

    ビルドに必要なスクリプトとMakefileが格納されています。

    このMakefile のあるフォルダで make TWELITE={BLUEまたはRED} を実行することで、ビルドが行われます。VSCode でのビルドも同様で内部的に make を呼び出します。

    TWELITE STAGE アプリでのビルド

    TWETLITE STAGE アプリを用いて、ビルドから書き込み、実行までを行えます。ここでは、TWELITE STAGE アプリの起動からビルドまでを解説します。

    0. TWELITE の接続

    MONOSTICKまたはTWELITE Rをお使いのUSBポートに接続します。

    1. TWELITE STAGE アプリの起動

    {TWELITE SDK インストール} フォルダにある実行形式 TWELITE_Stage.{拡張子} を起動します(参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)。

    以下は、TWELITE STAGE アプリ動作中の画面例です。左側の主画面とコマンドプロンプト画面がありますが、主画面を操作します。コマンドプロンプト画面は通常使用しませんが、諸情報及びTWELITEマイコンシリアルポートからの入力データが表示されます。

    画面例

    画面例

    主画面での主な操作は以下です。

    • マウス左クリック (選択)
    • マウス右ダブルクリック(前の画面に戻る)
    • 素早く ESC を2回, 一部画面では ESC 1回 (前の画面に戻る)
    • Alt(⌘) キーを押し続ける(ヘルプ画面)
    • 通常キーボード入力(画面に従う)

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    2. シリアルポートの選択

    TWELITE STAGE アプリを起動すると最初に表示される画面です。事前に TWELITE R や MONOSTICK を接続しておけば、この画面に列挙されます。この画面で操作したい TWELITE を選択します。この画面で選択せずに、別の操作で選択することも可能です。

    シリアルポート選択画面

    シリアルポート選択画面

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    3. メインメニュー

    シリアルポート選択画面を抜けると、メインメニューが表示されます。ビルドや書込は「アプリ書換」メニューを選択します。

    メインメニュー

    メインメニュー

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    4. アプリ書換メニュー

    アプリ書換メニューを選択する前に、TWELITE の接続とシリアルポートの選択を確認しておいてください。シリアルポートの選択状況は Alt(⌘) キーを押し続けると出現するヘルプ画面上で確認できます。

    アプリ書換メニュー

    アプリ書換メニュー

    TWELITE STAGE アプリから参照できるプロジェクトはいくつかに分類されています。右側のヘルプは関連情報をブラウザで表示します。フォルダはプロジェクトのあるフォルダを表示します。

    TWELITE が接続済みであれば、メニューを選択したときに、TWELITE のモデルが判定されます。(TWELITE STAGE アプリ内部では、この判定したTWELITEモデルに応じたビルドを行うようになっています)。

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    4. プロジェクトの選択

    ここでは「アプリ書換メニュー」から「actビルド&書換」を選択します。

    アプリ書換メニュー

    アプリ書換メニュー

    5. ビルド&書換

    ここでは、先ほどのプロジェクト選択画面中で BRD_APPTWELITE を選択します。

    選択すると、以下の画面例のように書き込みが行われます。エラーが表示された場合は、画面の指示に従うか、前の画面戻ってやり直してください。

    書き込み中(ベリファイあり設定)

    書き込み中(ベリファイあり設定)

    書き込み完了

    書き込み完了

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    6. インタラクティブモードに移動

    書換が正常に終了すると、続けてインタラクティブモード(設定画面)に移行します。ただし、インタラクティブモードに対応するファームウェアでないと画面は表示されません。

    インタラクティブモードでは、TWELITE の無線チャネルなど、各種設定を行えます。

    インタラクティブモード

    インタラクティブモード

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    7. ターミナル画面

    ルートメニューに戻って「ビューア」→「ターミナル」を選択します。

    ごく簡易的なシリアルターミナルです。TWELITE からのメッセージの確認と、TWELITE に対するメッセージの入力を行えます。

    ターミナル画面

    ターミナル画面

    画面では、約1秒おきに無線送信したときのメッセージが表示されます。+ + + 入力によるインタラクティブモード画面への遷移も行えます。

    (参考: TWELITE STAGE アプリマニュアル)

    VSCode でのビルドについて

    VSCode はソース編集の強力なエディタですが、VSCode上で TWELITE マイコン用のファームウェアをビルドすることも可能です。

    VSCode の起動は TWELITE STAGE アプリの「ビルド&書換」メニュー以下のプロジェクト一覧より行います。

    ビルドのリスト中の右端 [VSCode] を押してください。

    VSCodeの設定

    VSCodeの設定

    この動作を行うためには TWELITE STAGE アプリの設定が必要です。

    STAGE設定で 「code でフォルダを開く(VSCode)」を 1 にしてください。

    VSCodeで開く

    VSCodeで開く

    VSCode のビルドタスク

    最初にビルドしたいワークスペースを開いておきます。TWELITE STAGE SDK添付のワークスペースにはビルドタスクの定義が追加されています。

    以下の例では英語インタフェースの画面例で、ワークスペースを開いています。

    ワークスペースを開き [Terminal>Run Task...] を選択します。

    タスクの実行メニュー

    タスクの実行メニュー

    ビルドするTWELITE無線モジュールの種別(BLUE/RED)とアクト名を選択します。以下の例では Build for TWELITE BLUE を選択しています。選択後すぐにビルドが始まります。

    ビルドタスクの選択

    ビルドタスクの選択

    ビルド中の経過は画面下部のターミナル部分に出力されます。

    ビルド経過

    ビルド経過

    コマンドラインでのビルド

    コマンドライン環境でのビルドについて補足します。

    Linux, macOS 環境

    コマンドラインでのビルドは、bashやzsh(または他のシェル)が動作するウインドウでmakeを実行します。事前に環境変数MWSDK_ROOTが正しく設定されていることを確認してください。例えば/work/MWSDKにインストールした場合は ~/.profile (など)に以下のような設定を行います。

    MWSDK_ROOT=/work/MWSDK
    export MWSDK_ROOT

    コマンドラインよりmakeを実行します。makeがない場合はパッケージをインストールする必要があります。

    Windows 環境

    Windowsでは {MWSTAGE SDK インストール}/MWSDK/WIN_BASH.cmd を実行します。 環境変数や make ユーティリティが設定済みです。

    ビルド

    ビルドは以下のようになります。

    
    
    cd $MWSDK_ROOT
    cd Act_samples/PingPong/build
    pwd
    /mnt/c/MWSDK/Act_samples/PingPong/build
    
    ls
    ... ファイル一覧の表示
    
    rm -rfv objs_*
    ... 念のため中間ファイルを削除
    
    make TWELITE=BLUE
    ... BLUE用に通常ビルド
    
    make -j8 TWELITE=BLUE
    ... BLUE用にパラレルビルド(同時に8プロセス)

    コマンド例

    詳細はMakefileの解説をご覧ください。

    • make TWELITE=BLUE:TWELITE BLUE用にビルド
    • make TWELITE=RED:TWELITE RED用にビルド
    • make cleanall:中間ファイルの削除

    中間ファイルについて

    ビルドが行われると objs_??? フォルダが作成され、その中に中間ファイルが生成されます。このファイルはコンパイルした環境に依存しているため、他の環境のファイルが残っているとmakeがエラーとなりビルドが失敗します。